いじめ防止対策基本方針

   鳥取聾学校ひまわり分校いじめ防止基本方針(令和4年度) 
はじめに
 いじめは,いじめを受けた幼児児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し,その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず,その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである。
 鳥取聾学校では全ての幼児児童生徒が安心して学校生活を送り,様々な活動に取り組む中で,学びの質を高めながら心豊かに成長していくことができるよう,鳥取県教育委員会,家庭,地域社会その他関係者の連携の下,いじめの未然防止,いじめの早期発見及びいじめへの対処を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針を定めた。

1 いじめの定義と本校のいじめに対する基本的な認識
(1)いじめの定義
 いじめは,児童生徒に対して,一定の人間関係にある他の児童生徒によって行われる心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)で,対象になった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。(いじめ防止対策推進法2条より)

 個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は,表面的・形式的に行うことなく,いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。 
(平成18年度 文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」より) 

(2)いじめに対する基本的な認識
1 いじめは,いじめを受けた幼児児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し,その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず,その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがある。
2 いじめは,どの幼児児童生徒にも起こりうる。
3 いじめは,人間として絶対に許されない卑怯な行為である。
4 いじめは,全ての幼児児童生徒に関係する問題であり,幼児児童生徒がいじめを行わず,いじめを認識しながら放置することがないよう,いじめ問題に対する理解を深めなければならない。
5 子ども社会の問題は大人社会の問題の反映であり,いじめの問題もこの例外ではなく,教職員,家庭,地域,関係機関が個々の責任と連携のもとに「心豊かで安全・安心な社会をつくる」認識を共有する。

2 いじめを未然に防止するために
(1)校内体制
1 いじめ防止対策委員会
 いじめの未然防止と早期発見,対処のために「いじめ防止対策委員会」を設置する。
* 構成員は校長,教頭,主幹教諭,教務,学部主事,支援部長,生徒指導担当,養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーとし,幼児児童生徒,保護者,学校運営協議会メンバーの意見を反映して開催する。
*開催は,年5回(4,6,9,12,2月)とする。
*委員会の担当者は生徒指導担当とし,情報の収集・記録を行う。
*委員会の取組内容は,①学校いじめ防止基本方針の作成,②年間計画の作成,実行,検証,修正,③相談・通報窓口の設置,④研修会の企画立案,⑤アンケートの実施と結果報告,⑥各学部の情報共有等とし,これらの取組をPDCAサイクルで検証する。
*委員会はいじめとして対処すべき事案かどうかを判断し,問題の解消まで責任を持つ。

2 いじめの疑いに係わる情報への対処
 定例の委員会の構成員及びいじめの疑いに関わる情報に関係の深い教職員(学級担任,部活動顧問等)で緊急会議を開き,いじめの情報の迅速な共有,関係のある幼児児童生徒への事実関係の聴取,指導や支援の体制・対応方法の決定と保護者との連携といった対応を行い,事態収束まで継続指導・経過観察する。

(2)いじめの未然防止のための取組
 いじめを未然に防止するためには,さまざまな行事等を通して幼児児童生徒一人一人が認められ,互いに思いやることのできる関係づくりに全校を挙げて取り組み,幼児児童生徒の自己有用感や仲間意識を高めていかなければならない。また,一人一人を大切にした授業を展開し,確かな学力の定着を図っていく中で,学習活動での達成感・成就感を味わわせ,自尊感情を育むよう努める必要がある。さらにコミュニケーション能力を高める指導,集団としての規律を理解し,他者への適切なかかわり方を身につけさせるソーシャルスキルトレーニング,インターネットや携帯メールを正しく使用し,トラブルを防止する情報モラル教育に力を入れていかなければならない。
<取組の重点項目>
1 相手にわかりやすい話し方,きこえにくさに起因する誤解等をなくすためのコミュニケーションの指導を繰り返し行う。
2 命の尊さやいじめの問題について学び,互いを認め合い,思いやることができる人間関係づくりを進める道徳教育を実践する。
3 インターネットや携帯メールの使用から生じるいじめの構造を知り,誤解を防ぐメール文の作成や読解,やりとりのルール・マナーなどの情報モラル教育を充実する。
4 年2回(6・11月)にhyper-Q-Uを実施し,児童生徒の心の実態把握とそれに基づく個別懇談を実施する。
5 児童会や生徒会において幼児児童生徒が学校生活のルール・マナー,人間関係について話し合い,未然防止への取組みを主体的に考えるよう指導する。
6 いつでも,誰にでも相談できる体制の構築
7 教職員向け研修会を実施し,いじめの構造・発見法・対処法等について理解し,人権感覚を磨く。 
8 保護者に「鳥取聾学校いじめ防止基本方針」を周知し,幼児児童生徒のいじめ問題に関する学びの様子や情報を発信する。(懇談,参観日,講演会,学校HP,分校だより等)
<幼児童生徒の取組>
 『友達のよいところを見つけて、仲良くなろう!』というテーマのもとに,一人一人が仲間を大切にし,お互いに助け合いながら学校生活を送ることで,いじめのない学校を作る。

3 いじめの早期発見に向けて
 いじめについて,幼児児童生徒のささいな変化に気づかずいじめを見過ごしたり,気づきながら見逃したり,相談を受けながら対応を先延ばしにしたりすることがないよう,以下の取組を行う。
1 「いじめはどの学校でも,どの幼児児童生徒にも起こりうるものである。」という基本認識に立ち,全ての教職員が幼児児童生徒の様子を見守り,日常的な観察を丁寧に行うことにより,幼児児童生徒の小さな変化を見逃さない鋭い感覚を持つ。 
2 おかしいと感じた幼児児童生徒がいる場合には学部会やキャリア教育部会において気付いたことを共有し,より大勢の目で当該幼児児童生徒を見守る。 
3 様子に変化が見られる場合には,担任が積極的に働きかけを行い幼児児童生徒に安心感をもたせるとともに問題の有無を確かめ,解決すべき問題がある場合には,担任や学部でカウンセリングやきき取りを行い当該幼児児童生徒から悩み等をきき,問題の把握に努める。 
4 幼児児童生徒の悩みや人間関係を把握し,共に解決しようとする姿勢を示し,信頼関係を深める。また、月に1回アンケートを実施し、いじめの実態把握に努める。 
5 定期的な面談以外に,日頃から自分から相談できる学校の雰囲気をつくる。
6 家庭においていじめのサインを見つけたり,クラスの友人からの訴えによって早期発見したりできるように保護者や幼児児童生徒とのコミュニケーションを密にする。

4 発見したいじめへの組織的な対応
 いじめの早期解決のために,全教職員が一致団結して問題の解決にあたる。 
1  いじめ問題を発見したときには,速やかにその行為をやめさせるとともに,何が起きているかきき取りし,どのような対応を行ったかを,校内組織の担当者(生徒指導担当)に伝える。
2  教頭は「いじめ防止対策委員会」を開催し,いじめであると判断されたら基本的な流れを確認する。
3  情報収集を綿密に行い,事実確認をした上で,いじめられている幼児児童生徒の身の安全を最優先に考えて学校全体で心配や不安を取り除き安心して教育を受けられるように支援する。
4  いじめている側の幼児児童生徒にはいじめは決して許されないという毅然とした態度で,他人の心の痛みや苦しみを知ることができるように指導する。
5  傍観者の立場にいる幼児児童生徒たちにもいじめているのと同様であるということを指導する。 
6  いじめを受けた幼児児童生徒の保護者といじめを行った幼児児童生徒の保護者に事実関係を丁寧に報告して,解決のために保護者と連携して対応するとともに,家庭での様子や友達関係についての情報を集めて指導に生かすこととする。
7  いじめにより心身や財産に重大な被害が生じるおそれがあるときや,犯罪行為と認められる場合は警察と連携して対応する。
8  学校内だけでなく各種団体や専門家と協力をして解決にあたる。 
9  いじめられている児童の心の傷を癒すために,スクールカウンセラーや養護教諭と連携を取りながら,指導を行っていく。 
10  学校や家庭にはなかなか話すことができないような状況であれば,鳥取県教育委員会の「子どもの悩みサポートチーム」など相談窓口の利用も検討する。
11  ネット上でのいじめへの対応が学校単独では困難と判断した場合には,鳥取県教育委員会と相談して対応を考える。必要に応じて法務局又は地方法務局の協力を求めたり,幼児児童生徒の生命,身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに鳥取警察署に通報したりするなど,外部の専門機関に援助を求める。
<重大事態発生時>
 重大事態とは,次に掲げる①②の場合をいう。
① いじめにより幼児児童生徒の生命,心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
② いじめにより幼児児童生徒が相等の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。

 鳥取県教育委員会の指導・支援のもと,本校は以下のような対応に当たる。
1 学校の下に,重大事態調査委員会を設置
「いじめ防止対策委員会」を母体として,当該重大事態の性質に応じて専門的知識及び経験を有し,当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない第三者の参加を図り,重大事態調査委員会を設置する。
2 重大事態調査委員会で,事実確認を明確にするための調査を実施
いじめ行為の事実関係を,可能な限り網羅的に明確にする。
3 いじめを受けた幼児児童生徒及びその保護者に対して情報を適切に提供
調査より明らかになった事実関係について,情報を適切に提供する。
※関係者の個人情報に十分配慮する。
4 調査結果を鳥取県教育委員会に報告
5 調査結果を踏まえた必要な措置
解決に向けた指導・援助,継続指導と経過観察,再発防止のための取組を「いじめ防止対策委員会」で協議,決定の上,全教職員一丸となって進める。

5 関係諸機関等との連携
 いじめを確認した場合は,鳥取教育委員会に報告するとともに,「いじめ防止対策委員会」を開く。状況によって「重大事態」と考えられる場合は,鳥取県教育委員会に指導・支援を求め,重大事態調査委員会を設置,開催し組織的に対応していく。また,法に抵触すると考えられる場合は,鳥取警察署へ通報し対応等の相談をする。

 参考資料
・「鳥取聾学校 学校経営ビジョン」~教育の基本方針(平成26年度版)
・「鳥取聾学校人権教育の目標」
・「鳥取県いじめの防止等のための基本的な方針」
・「鳥取県いじめ防止ガイドブック」