「校長室から」
 
 教育のこと、子どものこと、その他私の考えたこと等、校長の視点で保護者や地域の皆様に発信をしていきたいと思います。感想や意見がありましたらお教えください。

「自助・共助・公助」について考える

2023年9月29日 11時42分

 風に揺れるコスモス、黄金色の稲穂がこうべを垂れる季節、朝晩めっきり涼しくなりました。9月の初めには、本校においてコロナウイルス感染症の拡大が見られましたが、現在は平静を取り戻し児童は通常の学校生活を送っています。しかしながら、再度の新型コロナウイルスの感染拡大に加えて、インフルエンザの流行も懸念され、児童を取り巻く環境は予断を許さない状況にあります。ご家庭におかれましても、引き続き日々の健康観察とともに、感染の疑いがある場合は早期の受診、ご家庭での休養をお願いします。

 先日は、皆様ご多用の中、引き渡し訓練を実施しましたが、大きな混乱もなく無事終えることができました。ご協力、ありがとうございました。今後は、本校の防災計画にある大規模災害等への対応について検証し、さらに体制を整えて参ります。また、同じ頃に地震を想定した防災訓練も実施しました。児童は、突然起こった地震に対して冷静に対応し安全に避難すること、教職員は、迅速かつ確実に児童及び自身の安全確保に努めることについて確認したところです。

 防災訓練の中で、全校児童に下記のようなお話をしましたので紹介します。(一部抜粋)

「備えあれば憂いなし」という言葉がありますが、いざというときに備えて前もって準備をしておけば、落ち着いて行動することができるので心配することはありません。

 地震はいつどこでどのように起こるかは分かりません。いつも近くに担任の先生や大人がいるとも限りません。休憩時間かもしれません。登下校中かも分かりません。ですから、普段の生活態度や災害に備えた準備や心構えが大切です。学校では、普段から落ち着いて静かに廊下や階段を歩くこと、校内放送の内容や先生・友達の話を静かに聞くこと、何ごとも自分でしっかりと考えて行動することなど、普段からできることがたくさんあります。生活の決まりを守っているか、自分でよく考えて正しく行動しようとしているか、この訓練を通してもう一度振り返ってみてください。

 ご家庭でも、防災について日頃から話し合っておくことはもちろん、家族の会話を大切にする中でお子さんの考えをしっかりと聞いて親子の考えをすり合わせておくことが重要です。普段、お子さんの「なぜ?どうして?」にていねいに向き合うことで、お子さんは「気づき、考え、行動する」自立したお子さんに成長します。休憩時間に行った防災訓練中、校庭で一年生がどうしたらよいか困っていた時、サッカーをしていた高学年の男子児童が「一年生、並んで!」と自分の避難とともに一年生を避難場所に導いていました。防災について語るときよく聞く言葉に「自助・共助・公助」があります。「自助」は一人一人が取り組むこと、「共助」は地域や身近にいる人同士が一緒に取り組むこと、「公助」は国や地方公共団体が取り組むことです。3つの連携が円滑なほど、災害の被害は軽減されると言われています。

 現在、個人の考えや取り組みを大切にする世の中ではありますが、行き過ぎた個人主義では地域社会は成り立たちません。頼りすぎや責任の押し付け合いでもいけません。防災訓練一つをとってみても、普段の当たり前が顕著に表れます。私たち大人は子供一人一人の健やかな成長を願う中で、これからの社会を生きる子供たちにどのような社会性を身につけさせる必要があるのか、家庭・地域・学校がそれぞれの役割の中で一体となって考える必要があります。