「校長室から」
 
 教育のこと、子どものこと、その他私の考えたこと等、校長の視点で保護者や地域の皆様に発信をしていきたいと思います。感想や意見がありましたらお教えください。

「心の支度」と「心の器」

2024年2月24日 17時31分

 1月下旬は強い寒気とともにまとまった降雪があったものの、山陰地方に降る雪の量は平年より少なく、1月に計画していました本校のスキー教室は延期することになりました。雪が少ないのは日々の生活がしやすくありがたいのですが、例年と違うこの冬の状況を心配しているのは私だけでしょうか。まずは、2月15・16日に延期しているスキー教室が、予定通り行えることを願っています。

 突然ですが、みなさんは子育てで大切にすべきことは何か、考えてみられたことがありますか。私が考えるには、大きく二つを身に付けさせることだと考えています。一つ目は、自分の力で生きていけるような自立した生き方の基礎を身に付けさせることです。二つ目は、世の中の多くの人たちと共に生きていくために必要なルールを身に付けさせることです。これらは、先に生まれた私たち大人の責任であり使命でもあります。教師である私が言うのも何ですが、親や先生は目の前の宿題や提出物ができていないと特に気になってしまいます。それは当然のことであり、きちんと取り組むことができる子供になるように支え育てていくのは大人の責任の一つだからです。また、楽な道ばかりを選ばない、簡単にあきらめたり妥協したりしない姿勢を身に付けてほしいと願うのも、親だからこそです。そのためには、我が子はもちろん周りの子供も巻き込んだ子育てが効果的です。人は人と人との関わりやふれあいによって学ぶことが多く、その中から礼儀や善悪の判断を学び、人の中で生きる安心感とともに様々な人を受容しようとする広い心が生まれます。また、叱ったり指摘したりしてくれる大人の存在は貴重ですが、昨今の社会状況ではそうした光景がめっきり少なくなりました。誤った言動を叱ってくれた人・指摘してくれた人に対して素直に「ありがとう」と思える「心の器」を作っていくことも、親をはじめとする周りの大人の姿勢次第です。

 私にとって身近なところでは、本町教育にご尽力された兵庫大学教育学部教授 林 敦司 氏(前船岡小学校校長)が、道徳教育2月号の論説で、下記のように子供の心に「人間」を受け入れる「心の支度」の大切さを述べています。

 子供の心の中に、人間の生き方に感動したりそこから何かを学んだりする「心の支度」ができていないと、出会った人物の生き方に対して他人ごとになってしまうので、日頃からたくさんの人に出会わせるとよい。 (抜粋の上、一部修正)

 繰り返しになりますが、大切なのは子供自身に大人の愛を感じられるようにしつつ、ものごとをしっかりと受け入れる「心の支度」と「心の器」を育成することであり、家庭教育を基盤に子育てに関わる全ての大人が手を携えて取り組んでいくことです。1月下旬の大雪のとき、6年担任の声掛けをきっかけに登校してきた6年生児童が率先して児童玄関前の雪かきをしてくれました。郡家西小学校児童には、ものごとをしっかりと受け入れる「心の支度」がある程度育っていると実感すると同時に、「心の器」も大きくなりつつあるのではないかと思った次第です。

「2月は逃げる、3月は去る」と言われています。今年度も残りわずかとなりましたが、引き続き本校教育へのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。