卒業式 式辞
陽差しうららかに春到来の喜びを感じられる今日このよき日に、来賓・保護者の皆様のご臨席のもとに、平成24年度卒業証書授与式を挙行することができましたこと、厚く御礼申し上げます。
平成24年度の卒業生は、幼稚部廣田君、山縣さん、小学部杉本君、高等部濱尾君、加賀田さん5名の皆さんです。卒業生の皆さんご卒業おめでとうございます。保護者の皆様にはお子様がそれぞれの学部を終えられましたこと、本校職員一同心よりお祝い申し上げます。
さて、巣立ちゆく皆さんに私からひとつお話があります。
皆さんの周りには、何事もなかったかのように見える人がたくさんいます。その人たちでさえ挫折を幾度も経験しています。しかし挫折は決して悪いことばかりではありません。人は挫折を感じてこそ、手探りでいろいろ試み、自分の実力や適性に気づき、今まで抱いていた希望をより実現可能な方向へ修正し、やりがいを感じられるものに出会うものです。ただ時には窮地に陥り、ポジティブに受け止めようとしても心が前を向かない場合があります。その時は思い切って一休みしましょう。そしてゆっくり自問自答し、自分を見つめ、自分を知り、自分の信じる道を見出し、自分と向き合う力を持ちましょう。これから、多くを見聞きし、自分なりに消化するなど、あらゆる経験を積み重ねていくうちに、どのように生きるべきか、自分の立ち位置を冷静かつ客観的に見極めるのです。
高等部の濱尾君、加賀田さんはそれぞれ進学するのですが、この後の在学中に、いつまでも支えあえる友を作り、いま大切にしている趣味やスポーツを通して、知識に限らずあらゆる物事を貧欲に吸収し、生きる力となるものを自分の手でつかみ取るよう努力しましょう。そして暮らしていく中で、壁に突き当たった時には、周囲の人に積極的に助力を仰ぎ、人と繋がることにより、他者への感謝の気持ちを大切にしながら、自立への道を歩んでいただきたいと思います。長い人類の歴史において、一個人の命は一瞬にすぎませんが、自らの意思で粘り強く自分をプロデュースし、「人生」という名の作品を作り上げ、その一瞬を輝かしいものとして下さい。
そして、保護者の皆様におかれましては、様々な思い出がお心を駆け巡っておられることと存じます。今後、時にお子様方が立ち止り、あるいは立ち尽くすようなことがありましても、その折にこそ、創意工夫し、真に考える力がつくものと信じ、陰になり日向になり、今までと変わらぬ助勢をお願い致します。
終わりになりましたが来賓の皆様方、お忙しい中を卒業式にご臨席賜り、卒業生を祝福してくださいまして誠にありがとうございました。心より御礼を申し上げまして式辞と致します。
平成25年3月8日
学校長 後藤 裕明
第3学期本校始業式
明けましておめでとうございます。みんなで元気に第3学期の始業式を迎えられることを嬉しく思います。今年のお正月は久しぶりに雪のない晴れ晴れとしたお天気で、平成25年がいい年になるような予感がします。みなさんも家族や親戚の人たちと、「今年もよろしく」「今年もがんばろう」と声を交わしたことでしょう。 正月の挨拶は、「明けましておめでとうございます。」ですが、どんな意味でしょうか?英語では、A Happy New Yearと言って、「新しい年が幸せでありますように」という思いがこめられているように、新しい年に希望や夢、目標をもち、新たな気持ちで出発しようという意味です。今年も鳥ろうの「たちつてと」をいつも頭において頑張りましょう。
今日は、「て」の「徹底して続ける」のお話をします。江戸時代の学者に新井白石という人がいます。新井白石が小さいころ、お父さんが白石に次のようなことを話しました。「お米の入っている米びつから、一粒だけ米を取っても、減ったとは分からない。反対に、一粒入れても増えたかどうかは分からない。しかし、一年、二年続けると減ったか増えたかは明らかに目に見えてくる。勉強も同じで、一日勉強したから賢くなるわけではなく、また一日怠けたからできなくなるものでもない。しかし、一年、二年続ければ必ず変わってくる。」と。たった一粒の米、それは「たとえどんな小さなことでも」というたとえです。「漢字を毎日10文字ずつ練習する」「自分から挨拶をする」「縄跳びの練習をする」「友達に親切にする」「汚れているところをきれいにする」など、どんな小さなことでもよいから「続けることが大切だ。」「続けていくことで、すばらしい自分に変わっていくのだ。」と白石のお父さんは、白石に教えたかったのです。
さて、この3学期登校する日は、今日を入れて49日間。卒業生は、40日間です。この短い一日一日を、どんな小さなことでもいいので、自分で決めて、「これをやった、これができたと言える」ようにしてほしいと思います。みなさんそれぞれが、心の目標に向かってわくわくしながら3学期を有意義過ごしてください。
平成25年1月10日(木)

教頭先生が代読
2学期終業式あいさつ
今日で2学期が終わりです。23名のみなさんに大きな病気やけががなく過ごせたことを、まず第一に嬉しく思います。
今年は4月から鳥取聾学校の「たちつてと」をいつも目標にして活動しています。2学期に行われた学校祭、卓球部女子が初めて団体で出場した全聾体、ひまわり分校と一緒の小学部修学旅行、小学部の遠足、マラソン大会、現場体験学習等数々の大会や行事でも、この「たちつてと」をいろんな場面で発揮し、皆さんは多くのことを経験したり学んだりと、それぞれが成長してきたと思います。その成果が、先ほどの表彰であったと思います。表彰された皆様よくがんばりました。おめでとうございます。
最近、校長先生はうれしかったことがあります。それはマラソン大会の皆さんの記録です。小学部ではほとんどの人が新記録を、中・高等部は10人全員が新記録で頑張ってくれたことです。長い距離を走るのは大変です。途中でしんどくなって止めようかと思う時もあると思います。それでもその誘惑に負けないで皆さんが歯を食いしばって頑張っていました。そのご褒美が新記録という結果です。全体の順位も大切ですが、まずは自分との闘いです。自分に勝つこと、怠けたい心に打ち勝つことが大切です。そうすることによって、他の辛いことに突き当たっても、マラソン大会で頑張ったことを思い出せば頑張れるはずです。
これから、まだまだ沢山の壁に突き当たると思いますが、今年のマラソン大会で頑張った自分を思い出して行動して欲しいと思います。
明日から19日間の冬休み、皆さんの家も新年を迎える準備で忙しくなることと思いますが、寒さのために怠けたいとか、さぼりたいとかの弱い心に負けないで家族の一員として皆さんが出来ることを進んでお手伝いしましょう。1月10日には、かぜなどひかないよう、全員が元気に登校することを願っています。
24年2学期始業式挨拶
みなさん、おはようございます。この39日間、今年も非常に暑い夏休みでしたね。元気に過ごすことができましたか。長い休みだからこその思い出に残るシーンが、それぞれにあったことと思います。
この後報告がありますが、休みに入ってすぐに中ろう体が島根県で開催され、中・高等部の生徒の皆さんは頑張っていい成績をおさめました。そして、卓球部団体・個人、陸上部個人で全国大会に出場することになりました。特に卓球部の皆さんは、昨年とは見違えるほど成長しており、まず挨拶がよくなりました。次に自分で考えて行動できるようになりました。「たちつてと」の「て」徹底して続けるとりろうです。「当たり前のことが当たり前にできる」ようになったことが勝利をもたらしたものと思います。また、ロンドンオリンピックの日本選手の活躍もすばらしかったですね。メダル獲得数では日本は6位で、38個と過去最高の大健闘でした。私は団体競技に多くの感動と勇気をもらいました。「一人一人の持てる様々な力を寄せ合い、一つにまとまって、素晴らしい力を発揮した」からです。まさに、聾学校の「たちつてと」の「ち」力を合わせて頑張る聾学校です。
さあ、今日から二学期です。10月には学校祭が、9月には小学部は修学旅行、11月には高等部の推薦入試とたくさんの行事などがあります。それぞれ大変なことも多いことと思いますが、自分で考えて行動し、皆が「ち」力を合わせて頑張ってコツコツと準備することで、その積み重ねが成果となってあらわれます。日々の実践を大切にしてください。
また、今日から毎日あいさつや、当たり前のことを当たり前にできるように「て」徹底して続けて下さい。そうして、さすが、「鳥取聾学校の児童・生徒は素晴らしい」と言われるよう頑張りましょう。24年8月29日
平成24年度 入学式式辞
「桜前線ゆるやかに北上」の便りとともに、野山の木々も芽をふくらませ、一段と春を感じる季節となりました。中学部の濱津志織さん、高等部の阪本こゆきさん、中村開知さん、林佳奈子さん、梶川慶貴さん入学おめでとうございます。皆さんは、新しい希望に胸をふくらませて、この鳥取聾学校の門をくぐったことと思います。皆さんの入学を、後ろにいる在校生、先生方、学校中の皆が待っていました。今日から鳥取聾学校の児童・生徒は、幼稚部も合わせて、24名となりました。
ところで、新入生の皆さん、入学式にあたり大切なことをお話します。それは始業式でも話しましたが、学年のスタートにあたり今年の目標「たちつてと」の話です。「た」は、たのしく元気な鳥ろう。「ち」は、力を合わせて頑張る鳥ろう。「つ」は、伝えあえる鳥ろう。「て」は、徹底して続ける鳥ろう。「と」は、友達思いの鳥ろうです。 今年1年、この「たちつてと」をいつも頭において、在校生の皆さんと新しくおいでになった先生も交えて元気な鳥取聾学校を一緒に作っていきましょう。
さて、大リーグで活躍しているイチロー選手のお話をします。彼は目標を高くしすぎない。必死に頑張っても届かない目標ならば諦めたり挫折感を味わうことになり、それは目標の設定ミス。つまりがんばれば何とか手の届くところに目標を設定し、手ごたえを自分の手でつかむまで時間に関係なくやり続けるという練習のスタイルをとっているのです。もうひとつは、彼は継続する力を大切にしているのです。高校生活の3年間、寝る前の10分の素振りを一日も休まず続けたのです。例えば野球の上手な子はすぐに上達しますが、いつの間にか練習を怠ります。ところが、下手な子は粘り強く練習を続け、できるようになった喜びに継続の大切さを知り、その後も練習を重ね上手な子よりも力らをつけるのです。彼は野球に対して卓越したセンスを持ちながらもひたすらに継続を重ねたのです。つまり、自分にあった目標を持ち、それに向けての継続を怠らなければ、必ず次の段階へと自分を押し上げていくことができ、それが、人が生き抜く力にも繋がっているものなのです。
保護者の皆様、お子様のご入学おめでとうございます。これから子ども達が学校生活を始めるにあたりお願いがあります。保護者の方々がいつも子どもへのよきアドバイザーであっていただきたいということです。誰しも親として生きるのは新米ですから、最良の助言は出来なくてもいいのです。ただ、子ども達と共に努力をし、子どものよき理解者あるいは話し相手であって頂きたいのです。子どもたちは、それだけで心温かくいられるものであり、がんばれるのです。
最後になりましたが、ご多忙中にもかかわりませず、ご臨席を賜りましたPTA会長様をはじめご来賓の皆様に厚くお礼を申し上げます。今後とも一層のご支援を賜りますようお願い申しあげまして式辞といたします。
平成24年4月9日
校長 後藤 裕明
1学期 始業式あいさつ
いよいよ平成24年度の第1学期が始まりました。皆さんはきっと、春休みの間に、新学年になったら「何をがんばろうか」といろいろ考え「勉強をがんばる」とか「友達にやさしくする」とか、「部活動をがんばる」とか、それぞれが目標を持って登校したことと思います。ここから、皆さんの顔を見ると、やる気いっぱいで、輝いて見えます。今年は、幼稚部8人、小学部6人、中学部4人、高等部6人全部で24人と少なくなりましたが、先生方は54人に増えました。
さて、学年のスタートにあたり、今年度の目標を「たちつてと」にまとめました。
「た」は、たのしく元気な鳥ろう。
「ち」は、力を合わせて頑張る鳥ろう。
「つ」は、伝えあえる鳥ろう。
「て」は、徹底して続ける鳥ろう。
「と」は、友達思いの鳥ろうです。
今年1年、この「たちつてと」をいつも頭において、皆さんと新しくおいでになった先生も交えて元気な鳥取聾学校を一緒に作っていきましょう。
来年の3月には、「先生や友達と一緒に楽しい学校であったな。」「みんなで力を合わせて頑張って思い出に残ることをしたな。」「自分の思いをしっかりと伝えることができたな。」「何か一つのことを徹底して続けていけたな」「友達を大切にし、仲良くできたな」と、心から思えるよう努力をし、輝かしい一年にしてください。私も先生方もがんばります。皆さんもしっかりがんばりましょう。
平成24年4月9日
校長 後藤 裕明
平成23年度修了式
皆さんは、今日各学年の全課程を修了しました。この一年間をふり返ってみると、学習・部活動、あるいは運動会や学校祭などの行事を重ねていく中で、一人一人が確実に立派に成長したと思います。
さて、一学期の始業式に「今年は一年を通して何か一つ自分のできる事を続けてみましょう」とお話しました。たとえば、「本を読む」「日記を書く」「靴をそろえる」など、決して高い目標でなくてもよいということでしたね。
「継続は力なり」というように、続けることに意義があるのですが、この一年間をふり返ってみてどうでしたか?三日で挫折した人、一ヶ月でやめた人、今もきちんと続けている人、途中でやめてしまったけれども再度挑戦してみて続けている人、それぞれだと思います。続けることが出来た人は、次の一年間も続ける。あるいは、もうひとつ目標を高いものにしてみるのもいいですね。続けることが出来なかった人は、目標を少し小さいものにして、毎日ではなく週ごとでもいいので頑張ってみましょう。そのことが自信となり、心身の大きな成長につながるものです。
そこで、明日からの春休みに、この一年間の自分を見つめ直したうえで、次の学年の達成可能な目標を設定し、実践してみましょう。
ところで、今日手にした修了証は、この一年間の自分の成長の記録です。そして、担当して下さった先生方の温かい思いが詰まっています。よく読み、良い点はより一層伸ばし、反省点は来年度の課題として努力してください。
では、休み中病気やけがのないよう、四月九日には、元気に新年度を迎えられることを願っています。
平成24年3月23日
鳥取県立鳥取聾学校長 後藤裕明