未来を切り拓く
2019年1月9日 09時21分 あけましておめでとうございます。平成最後となる初春を、穏やかに迎えられたこととお慶び申し上げます。今年は、日本にとって新たな時代の幕開けの年です。5月には、皇位継承があり改元が行われます。また、
2025年の大阪万博は、2020年の東京オリンピックに続く明るいニュースです。
しかし、新学習指導要領は厳しい問題意識から出発しています。
□今の子供たちやこれから誕生する子供たちが、成人して社会で活躍する頃には、我が国は厳しい挑戦の時代を迎えていると予想される。生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により、社会構造や雇用環境は大きく、また急速に変化しており、予測が困難な時代となっている。□
10年後の予測困難な時代でも、たくましく未来を切り拓いていける子供をどう育てるかということが大きなテーマなのです。
歴史を振り返れば、幕末から明治へと大変化した時代と現在とはよく似ています。激動の時代を生き抜いた先人から学ぶことがたくさんあります。
福沢諭吉もその一人です。諭吉は、緒方洪庵の適塾で蘭学を学びました。諭吉の猛勉強はすさまじく、布団をしいて寝たことは一度もなかったと述懐しているほどです。しかし、その後、開港したばかりの横浜へ行き、落胆します。オランダ語が全く通じないのです。会話もできなければ、店の看板も読めません。
そのころ世界の覇権はイギリスが握っていて、時代は英語へと移り変わっていました。でも、諭吉はその翌日にはショックから立ち直ります。「これからは一切万事英語だ」と新たな志を立てるのです。
後に、諭吉は振り返ります。「これは数年の勉強の結果を空しくすることで、生涯二度の艱難辛苦だ、と思ったのは大間違いで、実際は、オランダ語も英語も文法がほぼ同じなので、オランダ語の力は英語にも適用され、決して無駄ではなかった。」
諭吉は、英語の翻訳家として活躍。『西洋事情』等を表し、西洋の技術や社会の仕組みを迅速かつ的確に日本に伝え、欧米列強の属国などでなく対等に肩を並べていける国になるよう人々を導きました。ベストセラー『学問のすすめ』の出版、慶應義塾の創設、新聞『時事新報』の創刊等、日本が誇る明治の偉人です。
諭吉のように、予測困難な時代でも、何が起きても挫けず、未来を切り拓くたくましさを育てたいものです。また、頑張った経験は無駄にならないということも肝に銘じ、努力したいものです。
校長 安住 順一