春の田んぼにレンゲが一面に咲いている理由
2018年5月22日 17時36分農業あれこれシリーズ
第1回
みなさん、こんにちは。私は農業科職員の德持です。
長い年月「農業」教科に携わってきましたので意外と知られていないことをお伝えし、少しでも「農業」に興味をもっていただけたらといいなと思いました。不定期になると思いますが、目をとおしてくだされば幸いです。
さて、今回は春ということで車を運転中によく見る光景のひとつ「レンゲ畑」についてお話します。まだ田植えがはじまっていない時期に、一面に広がる白色やピンク色のレンゲが鮮やかに目に飛び込んできます。とてもきれいですね。
あれは、なぜ田んぼに咲いているのでしょうか?
田植えをまだしないので勝手に生えていると思っている方が多いのではないでしょうか?
実は、農家の方が意図を持って栽培しているのです。ご存知でしたか?
レンゲはマメ科の植物です。
マメ科植物の特徴は「根粒菌」を所有することです。これは空気中に大量にある窒素分子を、植物が吸収できる形に変換して蓄える菌です。
マメ科の根に寄生した根粒菌のコブ群
植物が育つのに大量に必要な栄養素は3つあります。そのうちの1つが「窒素」です。
この窒素をレンゲの根が蓄えてくれるので、春先に施肥(せひ)(肥料をまくこと)するときに窒素肥料を減らすことができるのです。
そのために、10月頃に農家はレンゲの種子を10アール当たり3kgくらいを蒔いて、5月ころに土にすきこみます。
このような見た目にもきれいで肥料にもなる作物を「景観緑肥」と呼んでいます。
今度、運転中にレンゲを見たら、ふとそのようなことも思い出してくれたらいいなと思います。
(文責 德持豊志)