今回のセミナーテーマは次のとおり。
▶ALDH2遺伝子の多型解析
生徒は,自分自身の体細胞から採取した遺伝子(アルデヒド分解酵素遺伝子)をもとに,「自分がお酒に強いのか,それとも弱いのか」を解析する実験を行いました。なお,このセミナーで取り扱うのがDNAという究極の個人情報となることから,理数教育にかかわる実験として遺伝子を解析することについて事前に生徒に同意書を提出してもらってからセミナーがスタートしました。
この実験にご協力くださったのは「公益財団法人 かずさDNA研究所」様。職員の方と本校とをオンラインで接続し,リアルタイムでご指導いただきました。
ご指導に沿い,生徒は自分の頬の細胞からDNAを採取。その後,目的の遺伝子部分を「PCR法」で増幅。そして「アガロースゲル電気泳動法」によってDNA断片の長さを解析。
高校の普段の授業ではなかなか体験できない一連の実験をとおして,生徒は教科書より深い内容や解析方法の変遷などについても学ぶことができました。さらに,いまだに全容解明に至らない謎だらけのDNAではあるけれども,その一方で医療等の分野での臨床活用がさらに期待されるDNAへの興味関心を一層高めることもできました。人体の不思議に思いを馳せ,理数科生徒の探究心をくすぐる,そんなセミナーでした。
そしていよいよ,実験結果が判明!
事前に想定していたものと異なっていたからでしょうか。それとも,将来自分が,あるいは仲間が,お酒を飲んでいる姿を想像してみたからでしょうか。それぞれの結果に生徒は大興奮。セミナーは大いに盛り上がりました。
とはいえ,今回の実験結果はあくまで参考程度。実際にお酒に強いかどうかは,将来のお楽しみです。その時,本校理数科卒業生はこの実験のことを思い出し,また盛り上がるかもしれませんね。
実は…この実験を一番楽しみにしていたのは本校理数科を指導する先生方。自分の経験と今回の解析結果に果たして差があるのかどうか…。そこを確かめたかった先生が多かった模様。
ということで,生徒にとっても教員にとっても,今回のセミナーは実に楽しいものでした。やはり理科実験はワクワクします。本校理数科はこれからも,こうした「ワクワク感」を大切にしながら理数教育を進めていきたいと思います。