本校に4名配置されているエキスパート教員の授業公開だけではありません。校内で研究授業を開催し,確かな教養・知識の習得と学習者中心の学び・学習活動のバランスをどう取りながら,21世紀型学力,とりわけ思考力・判断力・表現力を生徒に育成していくべきかについて実践的に研究しています。
◆2年生「公共」 単元:現代の経済と市場
学習指導要領の改訂に伴い,新規に設定された科目の一つが「公共」です。2年生公共担当の村岡教諭は,ともすれば知識理解にとどまりがちなこの科目を,生徒が社会や経済を構成する一員として経済活動に参加することに繋げたいとの考えから,平素からグループ学習形態を多用して授業を展開しています。

また,「物事を多角的に分析する力」「他者と協働し,自分の考えを適切に相手に伝える力」「発表や協議ための事前準備やリサーチを大切にする力」も伸ばしたいとの思いから,ディベート活動も導入済み。
生徒はこうした経験も生かして,単元活動テーマ「鳥取にハンバーガー屋をつくろう!」に取り組みました。互いに出し合った出店場所アイデアについて,「通行量」「稼働率」「客単価」等,村岡教諭から提示されるキーワードをもとに,マーケティング及び社会調査法的な見地から互いに考察を重ねる姿が印象的でした。もちろん,授業後,参観教員からのフィードバックコメントに熱心に耳を傾ける村岡教諭の姿も。
中学3年生の皆さん。高校「公共」は中学「公民」と内容面で接続し,「見えるようになる世界」の広がりを体感できる面白さと醍醐味に満ちています。お楽しみに!

◆2年生「生物基礎」 単元:ヒトと体の調節 ~免疫の働き~
「教わるより教えるほうが力がつく」…。2年生生物基礎担当の網谷教諭は,ICTを生徒が有効に活用する授業デザインをとおしてこのことにチャレンジしました。

「免疫応答の仕組み」「異物を排除する防御機構」。何やら難解めいたワードが躍る単元だからこそ,免疫が持っている実に素晴らしい働きについて生徒が納得して理解できるよう,知識構成型ジグソー法を基にしたグループ学習を網谷教諭は採用。生徒は各自のタブレット型端末を活用して,グループメンバーを対象とした説明スライドシートを作成し,プレゼン(免疫応答説明)及び質疑応答をとおした適切な理解に臨みました。そうした複数のプレゼンややり取りをとおして,免疫の仕組みに体系的に理解できる…という仕組みです。
くしくも新型コロナウイルスが猛威を振るったことを受け,生徒は「免疫」「ワクチン」「抗体」等を身近なものに感じているのでしょう。授業デザイン設定の適切さとも相まって,生徒は能動的に学習活動に取り組んでいました。
他方,「研究授業として公開したからこそ,理科の専門家として用語を適切に指導することの重要性や,理科的なものの見方・考え方を啓発する授業づくりをとおして理科学習が持つ面白さや感動を生徒に醸成するための工夫等について,先輩から貴重なアドバイスが提供されてとても勉強になった。」と網谷教諭。
そうなんですよね。研究授業はどの世代の教員にとっても気づきと学びがあるものです。
私達は今後も互見授業を推進するとともに,生徒の可能性を徹底的に信頼し続け,鳥取東高校での学びを志したすべての生徒が総合的な学力を向上できるよう,授業改善に努めたいと思います。