一歩踏み出す勇気を持とう
38の国と地域を訪れた経験を持つ田代さんから、次のようなクイズが出題されました。
・外務省が設立されたのは何時代?
・日本の大使館が最初に設置された国は?
・外務省には何種類の外国語専門官がいる?
・インドネシアの国旗はどれ?
・日本の年齢の中央値は49.8歳。では、世界で最も若い国の中央値は?
普段考えたことのない問いに、生徒たちは苦戦しながらも、正解・不正解にかかわらず和やかな雰囲気で盛り上がりました。

日本の国旗が描かれたカンボジアの紙幣や、上下逆さまに描かれた世界地図など、生徒にとって新鮮な事例が紹介されました。
田代さんは語ります。
「慣れた環境から一歩踏み出して、自分の軸を持ちながら、相手の立場や環境を考えてみましょう!」
発想の転換が世界を変える
LGBTQの権利を啓発する「プライド月間」に合わせて、アメリカのハンバーガーショップが販売した「LGBTバーガー」が紹介されました。これは「レタス、ワカモレ、ベーコン、トマト」の頭文字を取ったものです。田代さんは語ります。
「お店を休まずバーガーを販売することで、収入を確保し、取引先のビジネスを守り、自分の考えを主張し、デモ参加者を支援し、法案によって不利益を受ける人々を擁護し、主義主張に関係なく食べ物を必要とする人に提供するという、本来の仕事を全うすることができました。」
また、広島県産の表面がデコボコで売り物にならないレモンを「怪獣レモン」と名づけ、商品化やふるさと納税返礼品として活用した事例も紹介されました。
「できない理由よりも、どうすればできるかを考えてみよう!」
この熱いメッセージが、生徒たちの胸に強く響きました。
外務省の多様な仕事と使命
外務省では多様な職種の人々が働き、日本の利益を守るために国際社会で活動していること。海外275の在外公館では、本省と連携して情報収集や交渉、友好関係の促進を行っていること。さらに、国連WFPは学校給食支援などを通じて世界の安定と繁栄を目指しており、日本は2024年に約230億円を拠出し、世界12位の支援国であることが伝えられました。
田代さんは語ります。
「日本が幸せになるためには、世界を幸せにすることが必要です。一方的な支援ではなく、支え合うパートナーなのです。」
生徒たちは次第に、競争の中でも互いを尊重し、支え合うという行動が、ひいては日本の国益に繋がることを理解したようでした。
世界から鳥取へ
鳥取県の「二十世紀梨ジュース」のパッケージに8か国語(タイ語、中国語、英語、ドイツ語、ヒンディ語、ロシア語、ポルトガル語、アラビア語)で商品名が記されている事実。さらに、訪日外国人滞在数増加率ランキングで県内3市町村が全国トップ10にランクインしていること、三朝温泉観光協会の事務局長がフランス出身者であることなど、身近な国際化の事例が伝えられるにつれ、生徒たちの表情が引き締まり、その眼差しに真剣な光が宿り始めました。

「世界から鳥取へ」。そして最後に、「やりたいこととできることの重なりが今は小さくても、努力すれば少しずつ広げることができます。頑張った先に見える景色を信じて、進んでみましょう! みんなと一緒に創る未来の景色を見られる日を楽しみにしています。またいつか、どこかで道が交わることを願っています!」と力強いエールが送られました。
小さな対話が大きなヒントに
講座終了後、2人の生徒が田代さんのもとを訪れました。
1人の生徒は「中国が好きで中国語を勉強していますが、将来の進路がまだ定まりません」と相談。田代さんは「通訳だけでなく、商業やクリエイティブな仕事などもあるので、焦らなくて大丈夫ですよ」と優しく励ましました。もう1人の生徒は「医療系を目指していますが、国際的な仕事をするには何が大切ですか?」と質問。田代さんは「外国語も大切ですが、それ以上に自分の経験や考えを持つことが重要です」と語りました。

世界への探究、挑戦、そして夢に向けて
講座を通じて、生徒たちの心に強く残ったのは「あなたの《普通》は、相手の《普通》とは違うかもしれない。違いを知って、違いを楽しもう!」というメッセージだったように思います。また、鳥取とタンザニアの街並みを比較した画像では、タンザニアの近代的な都市風景に驚きの声が上がりました。
SNSなどの情報に影響され、外国や外国人に対して固定化されたイメージを持ってしまうこともある現代。しかし、今回の講座を通じて、生徒たちは自身の「無意識の思い込み」に向き合い、世界と自分の未来について深く考える貴重な機会を得ました。
田代さんのとても分かりやすいお話は、世界への探究、挑戦、そして夢に向けて生徒たちにとって貴重な経験となりました。生徒たちの心に残る温かいお話をありがとうございました。