その生徒が,ある小学校のそばを通りがかった時のことです。グラウンドで児童がサッカーをしていたところ,何かの拍子にボールが,グラウンド脇の道を挟んだ向こう側にある旧鳥取城のお堀に入ってしまいました。
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本校生徒がその様子をつぶさに見ていたのか,それともボールがお堀に入った瞬間を目撃したのか…。その時の状況については定かではないのですが,彼は帰宅の歩みを止め,お堀に入ってしまったサッカーボールを取り出し,児童に戻したのだそうです。
児童からすれば「誰だか分からないお兄さん」の優しさとぬくもり溢れる行動に「とても助かった」と,小学校児童クラブの方から先日,本校に御礼の電話をちょうだいしました。
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当該生徒は何事もなかったかのようにその後も通常どおり登校。彼にしてみれば,「困っている人がいたから,自分にできる範囲でお手伝いした」だけのこと,なのかもしれません。
それでも…と私達は思うのです。児童からすれば「誰だか分からない人」だからこそ,見て見ぬふりだってできたかもしれないそんな状況の中,自分がすべきと判断したことを行動に移した彼の誠実さは素晴らしいな,と。褒められよう,称えられようといった功利的な考えとは無縁の彼の判断が,児童が再びサッカーを楽しむことに繋がったのは素敵なことだな,と。
東高生は,高校生である前に社会の一員。お互いに助け合い,支え合って,暮らしやすい社会を創るために,十代の青年にできることはたくさんあります。私達が知りえていないだけで,彼のほかにも多くの東高生がきっと,「自らの気づき」に応じて考え,行動しているのだろうと思います。そして,私達の知りえないところでたくさんの東高生が地域のみなさまに支えられているのだ,とも。
鳥取東高はやはり,他者を思いやる心と優しさのある生徒の育成に取り組み続け,人のぬくもりであふれる「ふるさと・鳥取」を一緒に創っていきたいと思います。