入選作品は次のとおりです。
・名を呼ばず音だけとどくぼくの声四角い窓に風がながれる /熊谷凪斗
・寒い日の部活帰りに友達とはふはふしながらにくまん食べる /杉本琴奏
・映画館の暗闇の中の輪郭のきみの姿をぼくは見ている /中山琉生
加えて、本短歌大会が10年を機に終了することになり、これまで10回の大会での優秀作品の中からグランプリが選出されました。《青春の歌》部門においては、第7回大会で河野裕子賞(第1位)を受賞した石名萌さん(当時本校1年生)の作品がその栄誉に輝きました。
大会グランプリ ・干からびたカエルをよけてすすみゆくばいばい、わたしは夏をのりきる /石名萌(当時本校1年生)
[選評] 最初に「干からびたカエル」が出てくる驚きから、最後は力強く生きる決意のようなものに繋がる展開があざやか。書いていないが、自転車であぜ道を走っている様子が浮かぶ。田舎の風景と共にある青春が新鮮。(選者/東直子『第10回選歌集』より)
[選評] 乾ききった蛙を最初に提示することで、日盛りの道の映像が鮮明に見えてくる。困難も「ばいばい」と乗り越え、さらに前進しようとする決意が、口語で詠まれた下の句に現れる。「のりきる」の強い響きが耳に残る。(選者/島田幸典『第7回選歌集』より)
本校においては、第7回大会から河野裕子短歌賞に応募してきました。この間、石名さんの河野裕子賞をはじめ多くの生徒が入賞、入選に選ばれ、はかり知れないほどの励ましをいただいてきました。また、最優秀学校賞にも選んでいただいたこともありました。本校にとって縁の深い本大会が閉じるにあたり改めて大会関係者の皆様にお礼申し上げます。