この力は,娯楽や通信のためにタブレット型端末やスマートフォンをスムーズに利用できることと必ずしも同義ではありません。「自分は,インターネットでの情報収集には慣れているから…」という肌感覚が思わぬ落とし穴になったり,生徒の成長を制限してしまったりすることもあります。
そこで,本校1年生「総合的な探究の時間」における「鳥取学」では,図書館機能を最大限に生かしながら情報の収集や読み取り方そして参考文献を引用する際の作法や流儀等についてもしっかり指導することとしています。
鳥取東高校は,今を生きる高校生に育成すべき基礎力のひとつとして,求める情報をスピーディかつ適切に収集する力,そしてそうして得られた確かな情報を適切に分析したり,目的や目標にあわせて編集したりする力があると考えています。
本校図書館は,多様で多量の蔵書に加え,検索機能等が充実したICT機器も充実していることから,1年生「鳥取学」の充実にも貢献しています。情報収集の場としてだけでなく,対話的・共同的な学びに没頭できる場としても利活用される図書館。その学びの内容や質に応じて図書館司書が指導にあたることも少なくありません。
現1年生は中学校時代の3年間,いわゆる「一人一台端末」が整った教室環境で学んだ世代に相当します。個人用スマートフォンを中学時代から所有していたという生徒もいます。
幼い頃から,日常生活にインターネットがあるのが普通な生徒にとって,情報収集手段としてのICT利用について高校で改めて指導を受けることに違和感を覚える生徒がいるであろうことは容易に想像されます。
他方,次のようなことが,情報社会を生き抜く基礎的な素養として課題になっていたりします。
▶事実と意見を峻別する力が必須である。
▶報じられる事象はその事象を語る(伝える)一面でしかないケースがあることを踏まえる。
▶物事の見方は決して一様ではないことを尊重する。
▶同じ事象も,報じる(伝える)者の価値観や識見,意図等によって,その内容が様々なものになる。
こうした素養を育むため,本校では「鳥取学」等の教科横断的な学びをとおして,生徒自らに気づかせることを重視しています。「あっ!」と気づいたり,「ハッ」とさせられたりする瞬間を得られるのであれば,その時は失敗やしくじりに思えるようなことも,今後の大きな糧になります。自分でやらないと本物は得られません。
「わかったつもり」からの脱却を図り,生徒が情報の収集にかかわる本質的な力を習得し,そうして自ら習得した力やスキルを探究学習や教科学習に活用できるよう,鳥取東高校図書館も積極的に支援・指導しています。