第1回図書館セミナー
1 日時 平成27年6月19日(金) 16:00~16:45 2 場所 図書館 3 参加 生徒図書委員の参加希望生徒7名 司書、司書教諭 4 講師 山本博崇氏 (今井書店 鳥取外商部)
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5 セミナーの内容
①書店の仕事とは
・取り扱う商材は多岐に渡る。
→本、CD・DVD、雑貨、カフェ、
食品などあらゆるもの(地元商店とのつながり)
・仕事は縦割りで、店売・外商・総務管理・企画開発に分かれる。
・地方書店としては外商が大規模で、100人ぐらいいる。
・外商が最も忙しいのは新学期前後の3、4月。教科書を各小・中学校へ。
・全国でも注目されているのはリアルタイムでの在庫をタッチパネルで検索できること。
②書店員が大切にしていること
・老若男女、様々な事情、ニーズのあらゆる人々と接する。
→本が好きというより、「人が好き」ということが大切。
・「仕事(=仕える)」ではなく「働く(=人が動く)」、つまり自分の思いで動いていると考えている。その方が楽しいはず。
③質疑応答(一部)
・お勧めの本は?
→②でも述べたようにニーズは様々なので、一般的に勧めるのは難しい。
・やりがいは?
→相手を知り、相手に合うのではと思って勧めた物が喜ばれた時。
また、学校司書向けのイベント(図書フェア)への取り組みにおいて感じている。
司書教諭によるブックトーク(平成27年5月26~29日 国語の授業 2年各教室にて)
2年生は、現代文の授業で、評論文「木を伐る人/植える人」を読みました。人々は今、かつて持っていた自然と折り合いをつける知恵や技術を失いつつあります。それを再考する上で注目されるのが、森に深い畏敬の念の抱いてきた「木を伐る人」たちだということを学びました。 そこで、木と関わって生きる人の姿を描いた本を、まず3冊紹介します。 |
1冊目は、『神去なあなあ日常』(三浦しをん)です。 主人公が、高校卒業後すぐに就職先として訳も分からず放り込まれたのが、神去村でした。そこで彼は、林業に従事する人々と出会い、次第に山の魅力に目覚めていきます。事件、恋、そして最後の圧巻は四十八年に一度の神事。切り倒した巨木を直滑降で無事降ろすことができるのか?ちなみに2014年に映画化されており、キャッチコピーは「少年よ、大木を抱け。」 |
2冊目は『大都会に作られた森 明治神宮の森に学ぶ』(松井光瑤他 共著)です。 皆さんは、東京新宿の近隣に緑の島、明治神宮の森があるのをご存知ですか。
これは大正時代に立てられた「永遠の杜(=森)」を150年で造るという壮大な計画のもと造られた人工の森なのです。計画に至るまでの論争、植林計画、今現在の姿。人と自然の力の可能性が感じられることと思います。 | |
| 「ねえ、神宮の森って知ってる?」 |
3冊目は、『宮脇昭、果てなき闘い』(一志治夫)です。 宮脇氏の主張は、「何百年も何千年もその土地の人々と生きてきた土地本来の森が一番」だということです。彼は東日本大震災の復興に関して、いのちを守る「森の防潮堤」の活動にも奔走しています。また各章の見出しは、木だけではない人の生き方にも通じるように思います。例えば「本物とは、厳しい環境に耐えて長持ちするもの」「混ぜる。好きなやつだけは集めない」など。
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| さて、木は現在、どう利用されているでしょうか? また、用途で一番多いものは何でしょう? 林野庁、森林・林業学習館のHPによると、建築用材が約4割、紙も約4割ということです。
それでは、その建築に関連して『日本木造遺産』(藤森照信他)を紹介します。掲載された23の建築物の中に、なんと我が鳥取県の建築物も採りあげられています。それはどこでしょう? |
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答えは、三朝町にある三徳山の投入堂です。「木の建築は未来建築」であるとはどういうことか、この本を読んで、是非その意味を探ってみてください。 では、もう一つの紙に関して『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』(佐々涼子)を紹介します。 本校でも四年前に東北を訪問し、今年も訪問が計画されていますが、震災で機能停止した石巻の製紙工場の復興を描いたルポルタージュがこれです。紙作り職人の思いを一部紹介します。 「紙作りに携わる職人たちはずっと、マシンはただの物体ではなく、そこに魂がこもっていると考えてきた。オペレーターたちは、たとえ廃棄する紙であっても、決して靴では上がらない。魂が宿るマシンの製品は踏まないのだ。彼らはどこかで、畏怖と深い愛情を持って、マシンを扱っていたのである。」 決してきれいごとばかりではない復興への過程、また社会人野球部の葛藤(「このまま野球をやってて本当にいいのかな」)と工場や地域の人々の思いも、読み味わってください。 最後に、『木にたずねよ』(和合亮一)を紹介します。震災で傷められ、原発事故後の除染で伐採され痛めつけられた木は、それでも生きている。福島の木を書くことは、人を書くことにつながるのではないか、そのような思いでつづられた詩集です。 それでは、是非図書館に足を運び、これらの本を手に取ってみてください。お待ちしています。 |