卒業式 答辞
2020年3月6日 13時32分答辞
三年生の校舎から見える大山につもった雪もとけ始め、少しずつ春の訪れを感じる季節になりました。
本日は、多数のご来賓、保護者の皆様のご出席のもとに、このような盛大な卒業式を挙行していただきますことを卒業生一同心よりお礼申し上げます。
私たちは、三年前、第五期生として、琴の浦高等特別支援学校に入学しました。知らない友だち、知らない先生との新しい学校生活は、毎日が緊張の連続でした。私自身、入学してまもなくの4月ごろは、何をしていたのか、ほとんど覚えていません。しかし、入学して一ヵ月たった頃には、学校生活にも慣れて、周りの人とも話ができるようになりました。
一年生の五月に行われた船上山宿泊学習では、登山やカレーづくりをしました。私は、カレーづくりの時、作業手順がわからなくなり、その場で固まって動けなくなり、クラスの友だちに迷惑をかけてしまいました。しかし、クラスのみんなは何も言わず、私の分の仕事もして助けてくれました。Kくんが考えたひとりはみんなのために、みんなはひとりのためにと言う意味の、ワン フォア オール、オール フォア ワンのスローガン通りで、みんなのやさしさが、とてもうれしかったです。そして、みんなが作ってくれたカレーは、とてもおいしかったです。
二年生の時の思い出は、心の道場・座禅体験と修学旅行です。座禅体験では、目を細めて一点を見つめ続けていたら、あっというまに時間が過ぎました。そして、足がしびれて大変でした。KくんやHくんは、自分から手を挙げて、ビシバシとたたかれていましたが、私は、たたかれるのが嫌だったので、手を挙げませんでた。
修学旅行では、バスの中から見たサトウキビ畑の風景や、嘉手納基地での飛行機の大きな音が印象に残っています。島に向かう船の上で、秋月先生とタイタニックのポーズで写真を撮ったことや、民泊先の方が連れて行ってくれた真っ暗闇の夜のドライブで、怖い話が始まった時に、Eくんがめちゃくちゃ怒っていたことなどもよい思い出です。
三年生の時の思い出は、琴フェスです。学級ステージ発表で、KくんとTT兄弟をしたり、クラスのみんなで、バブリーダンスを踊ったりしました。会場の皆さんに笑っていただいたことが、とてもうれしかったです。残念ながら優秀賞は、四組の吉本新喜劇でしたが、二組のみんなで考え、みんなで一生懸命練習したことは、とてもよい思い出になりました。
三年間で、一番大変だったことは、就職活動です。
私は、二年生の二月と、三年生の七月に、同じ場所で続けて実習をしました。くりかえしのある袋詰め作業が自分に合っていて、働きやすい職場だったので、ここで働きたいと思っていましたが、残念ながらその会社から内定をいただくことはできませんでした。すぐに気持ちを切りかえて向かった九月の個別実習先は、同じ作業を繰り返す、わかりやすい仕事でした。しかし、ラインの流れに沿って作業するプレッシャーと、腕の力や、一日を通して立ち作業をする体力が必要であるということから、自分には、仕事を続けることをができないと思い、そこでの就職はあきらめました。
十月に行った実習先は、一年生の時にも実習したことがある場所でした。実習先の方からは、さすが三年生、一年生の時と違って、敬語が使えるようになったなぁと、ほめていただきましたが、ここでも内定をいただくことはできませんでした。早く仕事を決めて、親を安心させたいと思っていましたが、なかなか自分の思うようにはいきませんでした。
三度目の個別実習先は、今まで全くしたことがなかった調理補助の仕事でした。最初はできるかどうか不安でしたが、いざ仕事をしてみると、料理に使う肉や冷凍ポテトの重さを計ったり、ケーキに使うチョコや粉の分量を計ったりする仕事で、自分にもできる仕事ということがわかりました。専門農業でいつもしていた、野菜の重さを計る経験が、ここで役に立ち、自信をもって仕事をすることができました。また、職場の方がやさしく丁寧に教えてくださったことも自分にとって働きやすい環境でした。
実習中に、てごたえを感じていましたが、また断られるのではないかと不安でいっぱいでした。内定が出たと聞いたときは、本当にうれしかったです。今まであきらめずにやってきたことが、本当に報われたなぁと思いました。最後の最後で内定をいただくことができたのは、自分の力だけではなく、内定が決まるまで、自分に合った職場を一生懸命探してくださった進路の先生やずっと励まし続けてくださった担任のおかげだと思っています。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
後輩のみなさんに伝えたいことがあります。内定をもらうことは、簡単なことではありません。しかし、あきらめずに頑張れば、周りの人が助けてくださいます。自分ができることを一生懸命やってください。がんばったことは、ムダにはなりません。
私は四月から社会人になります。サラダや、杏仁豆腐などをつくる調理補助の仕事です。自分が作ったケーキを、他の店舗で販売していただくと言う責任重大な仕事もあります。少しでもお客様に喜んでいただけるように一生懸命働きたいと思います。
最後になりましたが、今まで私たちを育ててくださったお父さん、お母さん、施設の先生方ありがとうございました。また、私たちが専門農業で育てた野菜を、学校や東伯アプトで販売した際に、買いにきてくださった琴浦町周辺の地域の方々、ありがとうございました。そして、私たちを支え、見守り、粘り強く指導してくださった先生方にも本当に感謝しています。
琴の浦で学んだこの三年間で、私たちはたくさんのことを経験し、成長することができました。
これからも、その恩を忘れることなく頑張りたいと思います。私たちの成長を見守ってください。
卒業生を代表し、心から感謝の気持ちを込め、答辞とさせていただきます。
令和二年 三月四日
卒業生代表