第2回
こんにちは。野菜担当の德持です。植物全般も担当しますので、今日はヒマワリについてお話します。
ヒマワリの花は太陽のほうをいつも向くように動いている、と聞いたことありませんか?ホントでしょうか?・・・ホントです。
大山周辺のひまわり畑(2016.8撮影)
まるでヒマワリの花が意志を持っているように見えますね。あれはどのような仕組みなのでしょうか?
大きく関係しているのは花ではなくて、その花を支えている茎です。
茎と太陽の光が関係しています。
自然界には、植物の成長に大きく影響する植物ホルモンと呼ばれるものがいくつかあります。(動物とおなじですね)
そのひとつにオーキシンと呼ばれるものがあります。特徴は・・・
①太陽の光を避けるように植物内を移動する。
②細胞の成長を促す。 です。
これにより、
ア 茎の中のオーキシンが太陽の方向とは反対側に移動する
イ オーキシンが作用して、太陽と反対側の茎の細胞成長が早くなる。
ウ 反対側の茎が伸びることによって花が太陽側に傾く
ということで、見た目にはヒマワリの花が太陽を向く のです。
和名の「向日葵」という漢字を見ても、太陽に向かっていることを意味しています。ほかにも「日輪草」「日車草」「日回り草」など似たような・・・
ただし、そのような動きをするのは若い成長途中のヒマワリだけです。タネのびっしりつまった大きなヒマワリの花にまで成長したものはもう太陽を追いかけません。
実はおなじ理由で、ハクサイやキャベツが球状になるのです。
その説明はまたの機会にしましょう。
葵(あおい)と名前にあるのにアオイ科の植物ではありません。キク科です。
ちなみにアオイ科にはオクラ、ハイビスカス、フヨウ、タチアオイなどです。
理屈はそうであっても、見た目は意志をもって太陽を追いかけているように見えるんだよなぁ・・・
(文責 德持豊志)
農業あれこれシリーズ
第1回
みなさん、こんにちは。私は農業科職員の德持です。
長い年月「農業」教科に携わってきましたので意外と知られていないことをお伝えし、少しでも「農業」に興味をもっていただけたらといいなと思いました。不定期になると思いますが、目をとおしてくだされば幸いです。
さて、今回は春ということで車を運転中によく見る光景のひとつ「レンゲ畑」についてお話します。まだ田植えがはじまっていない時期に、一面に広がる白色やピンク色のレンゲが鮮やかに目に飛び込んできます。とてもきれいですね。
あれは、なぜ田んぼに咲いているのでしょうか?
田植えをまだしないので勝手に生えていると思っている方が多いのではないでしょうか?
実は、農家の方が意図を持って栽培しているのです。ご存知でしたか?
レンゲはマメ科の植物です。
マメ科植物の特徴は「根粒菌」を所有することです。これは空気中に大量にある窒素分子を、植物が吸収できる形に変換して蓄える菌です。
マメ科の根に寄生した根粒菌のコブ群
植物が育つのに大量に必要な栄養素は3つあります。そのうちの1つが「窒素」です。
この窒素をレンゲの根が蓄えてくれるので、春先に施肥(せひ)(肥料をまくこと)するときに窒素肥料を減らすことができるのです。
そのために、10月頃に農家はレンゲの種子を10アール当たり3kgくらいを蒔いて、5月ころに土にすきこみます。
このような見た目にもきれいで肥料にもなる作物を「景観緑肥」と呼んでいます。
今度、運転中にレンゲを見たら、ふとそのようなことも思い出してくれたらいいなと思います。
(文責 德持豊志)