入学式式辞

令和6年度 入学式 式辞
 
 正門前の桜も満開の今日、令和6年度、鳥取県立米子東高等学校入学式を挙行するにあたり、PTA会長 堀江 司 様、勝田ヶ丘同窓会会長 松村 順史 様、灯陵会会長 野口 敦照 様はじめ多くの来賓のご臨席を賜り、保護者の皆様ご出席のもと、新入生の皆さんを祝福できますことを、高段からではありますが、心よりお礼申し上げます。
 ただいま、入学を許可した全日制課程280名、定時制課程12名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
 そして、これまで皆さんを温かく見守り、支えてこられた保護者の皆様にも心からお祝いを申し上げます。
 本校は、明治32年、1899年に創立され、125年に渡る輝かしい歴史と伝統を誇ります。明治、大正、昭和、平成を経て、「令和」の時代となっても社会の発展に寄与する人財の育成を、その使命としています。
 スクールミッションは、「未来を拓く人財の育成」です。これから先の未来を切り拓き、高い志を持って社会に貢献し活躍できる人財を育むことを目指しています。主体的に幅広い学習に取り組み、友人と切磋琢磨しながら人間性を高め、知識や教養を身に付けるよう学校生活に取り組むことが必要です。
 定時制課程のみなさんは、これまでに経験のない夜間での学習となります。今後の目標を明確にし、強い意志を持って粘り強く学習に取り組み、社会で活躍する基礎を身に付けてください。
 全日制課程のみなさんは、2期、8年目を迎えるスーパーサイエンスハイスクールの取組である「課題探究」、「科学を創造する人財育成事業」、「海外研修事業」などを通じて、将来の目標を定め、科学的思考力、判断力、表現力の育成に努め、失敗を恐れず挑戦してください。
 それでは、高校生活のスタートに当たり、みなさんに一つお願いをします。それは、高校生活の3年間で、「自分は社会に対して何ができるのか」ということを考え、将来の目標を決めて欲しいということです。
 「株式会社ボーダレス・ジャパン」代表取締役社長の「田口一成」さんは、大学2年生の時に栄養失調に苦しむ子供の映像を見て「この問題を解決することが自分の人生をかける価値がある」と考えました。大学を卒業後、就職しましたが、「社会課題を解決するために挑む人が生まれ続ける"社会のしくみ"をつくりたい」と考え、その後、起業しました。
 「自分一人で何かを取り組むだけでは、社会を変えることができない。社会を変えるためには、社会のために起業する人を増やすだけでなく、事業を創る人、支える人、それを応援する人、あらゆる人や企業が『いい社会づくり』に参加できる選択肢をつくることが必要だ」と考えたのです。
 そして、現在では、13ヵ国で51事業を立ち上げ、貧困、環境問題の解決に取り組んでいます。事業の中の1つに「ビジネスレザーファクトリー」というビジネス用のバッグや財布を売っている会社があります。この会社はバングラデッシュで消費されている牛の革を使って製品として販売し、貧困層の方を雇用している会社です。貧困層の方を豊かにするためには雇用が必要であり、大量に食料として消費されている牛革を使う事業を考えたのです。一つの問題を解決するために取り組んでいる人は数多くいますが、田口さんは社会をよりよくするための「仕組み」づくりに取り組んでいます。「おなじ地球に、おなじ時代に生まれた者同志、みんなが幸せに暮らせる社会をみんなでつくること」を目指しているのです。
 私たちは、何かを得ようとして行動しますが、田口さんは、「人生の価値は、何を得るかではなく、何を残すかにある。」と考え、行動しています。
 みなさんには、自分が一生をかけてやることを早く見つけ、高い志を持って、具体的に努力することがこれまで以上に必要です。
 スポーツでも芸術でも優勝するという目標だけ掲げていても具体的な計画を立て、地道な練習に毎日取り組まなければ目標を達成することはできません。自分自身の将来の目標を見つけ、そのために必要なことを考え、具体的にそして計画的に努力する3年間にしてください。努力すれば結果は必ずついてくるわけではありませんが、その経過は必ず自分自身の成長につながり、将来につながります。
 これからの予測不能な社会を生きるみなさんは、答えのない問題に対応しなければなりません。そのような時代の中心として活躍するみなさんには、「熱い思い」と「高い志」が必要です。何かを得るためではなく、何かを残すために、みなさんも自分の目標を見つけてください。そして、みなさんの人間力を米子東高等学校での3年間で高め、教科の学習、探究活動、部活動、コンテストなど何事にも挑戦し、やりきってください。
 生徒の皆さんが高校3年間の成長をより一層高めるためには、保護者の皆様の支援と理解、協力が不可欠です。高校生は、知識や理解力が飛躍的に向上するだけではなく、様々な困難や悩みを克服しながら人間的にも、大きく成長する時期です。教職員も一丸となって教育活動に取り組み、精神的にも成長を支えていきますが、精神的な成長には、家族の支えも必要です。どうか、機会あるごとに激励の声をかけていただき生徒の挑戦を支え、応援していただきますようお願いします。
 結びになりますが、お忙しい中、本日の入学式にご臨席を賜りました来賓の皆様、ご出席の保護者の皆様に改めて心より御礼申し上げます。今後とも新入生並びに米子東高等学校教育に対しご指導ご鞭撻ご支援をよろしくお願いします。
 新入生の皆さんが健康で、充実した高校生活を送り、将来の夢に向かって大きく飛躍することを祈念して式辞とします。
 
 
  令和6年4月9日
 
  鳥取県立米子東高等学校長 田辺 洋範
 
校長式辞0