卒業式式辞

令和5年度 卒業式 式辞

 早春を迎えた今日の良き日に、PTA会長堀江 司 様、勝田ヶ丘同窓会長 松村 順史 様、灯陵会長 野口 敦照 様をはじめ多くの来賓の臨席を賜り、卒業式が挙行できますことを、高いところからではありますが、心から御礼を申し上げます。

 卒業生の皆さん、そして、保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。全日制課程278名、定時制課程13名の皆さんは、米子東高等学校での全課程を修了し、本日、ここに卒業を迎えました。

 高校生活での多くの出会いや様々な体験など、本校で過ごした日々を一人ひとり思い出していることでしょう。本年度は新型コロナウイルス感染症拡大前に近い形での学校生活で、「やりきった」と言える高校生活だったのではないでしょうか。

 定時制課程では、生徒会が企画して、運動会を実施するなど、主体的に学校生活に取り組みました。また、バレーボール、バドミントンで全国大会出場を果たしました。夜間での学校生活に地道に取り組んだ成果が、この卒業につながっています。今後も自分自身の目標に向かって努力し、社会に貢献してください。

 全日制課程では、「打って出る」のスローガンのもと、積極的に自らの課題に取り組みました。科学の甲子園には3年連続出場し、優秀な成績をあげました。スーパーサイエンスハイスクール指定は、2期目通算7年目となり、学会や発表会に、のべ998人が参加し、38人が上位の成績を収めました。なかでも化学グランプリで日本で上位5人の大賞を受賞したことは、大変素晴らしい快挙でした。

 部活動においては、今年度全国大会に運動部では16部37人、文化部では14部106人が出場し、大いに活躍しました。中でも、全国高校総体飛込競技において2年連続優勝し、祝勝会で凱歌「松の緑」を全校生徒で歌い、栄誉を称えたことは本校の素晴らしい歴史と伝統を改めて感じるとともに、自分達も頑張らなければと思えた瞬間だったのではないでしょうか。また、夏の高校野球鳥取県大会での全校生徒での応援は、本当に素晴らしいもので、みなさんの記憶に深く刻まれたことでしょう。

 このように、皆さんは校訓である「質実剛健」、校風である「文武両道」の精神を立派に実践し、後輩たちに引き継ぐことができました。

 「高い志」を持って何事にも取り組んで欲しいと機会あるごとに言いました。将来の職業を目指すだけではなく、自分がそこで何を成し遂げたいのか、何のためにやりたいのかを考えることが大切だからです。

 2月に赤松良子さんが94歳で亡くなられました。1986年に施行された男女雇用機会均等法の成立に尽力し「均等法の母」と呼ばれた方です。みなさんには信じられないかもしれませんが、日本でもわずか40年近く前には、男性しか採用しない、女性の定年は男性よりも早い、給与も男性が高いといったことが法律で禁止されていませんでした。赤松さんは、国際連合の女子差別撤廃条約を日本が批准することに関わり、男女雇用機会均等法の成立に中心となって取り組みました。著書の中で、自分を励ましてくれる言葉として「男女平等実現のための長い列に加わる」という言葉を挙げられています。今の世の中があるのは、それまでの多くの人の努力の積み重ねがある。そしてこの取組はこれからの人々にも引き継いでいかなければならないということです。そして自分ではできなかったことも次に続く人が平等で平和な世界を実現すると信じて取り組まれたのです。

 現実の社会では、「ガラスの天井」と呼ばれる男女平等を阻む壁が依然としてあります。しかし、今、当たり前だと思っていることも将来では当たり前でないことは多くあります。だからこそ、皆さんはよりよい社会を実現していくために取り組み続けなければなりません。自分の可能性を信じて、自分の夢に向かって、具体的に努力し続けてください。そうすれば、必ずよりよい社会が実現し、やりきったと思えるのです。そしてその思いは引き継がれて行きます。

 皆さんの前途には輝かしい未来が待っています。そして米子市、鳥取県だけではなく、日本、世界に貢献する人財となり、戦争のない平和な社会を実現してください。そのためには、「高い志」を忘れないでください。

 最後になりましたが、保護者の皆様には、本校の教育活動にご理解、ご協力、ご支援をいただき、本当にありがとうございました。そして、今後も米子東高等学校を応援していただき、ますますの発展を見守っていただきますようよろしくお願いします。

 皆さんの前途を祝し、今後のさらなる御活躍を心から祈念して、式辞といたします。

   令和6年3月1日

   鳥取県立米子東高等学校長 田辺 洋範

卒2校長