学校長日誌

校長室から 27

2016年6月7日 09時00分

昨日は「第2回人生を考える講演会」を実施いたしました。
お迎えした講師は池間哲郎さんです。
池間さんは1954年沖縄県生まれ。現在は認定NPO法人アジアチャイルドサポートの代表理事として大活躍されています。そのかたわら多くの講演活動もしておられて、今回が3271回目ということでした。その約40%が学校ということです。
最初、僕が池間さんのことを知ったのは、「致知」という雑誌でした。会社経営をしながらアジア各国のスラム街やゴミ捨て場で暮らしている子どもたちの支援をしているという活動の様子が掲載されていました。そのなかで、
池間さんがフィリピンに行かれた際、ゴミ捨て場で暮らしている子どもたちに、
「あなたの夢はなんですか?」と聞いたとき、10歳くらいの少女がにこにこしながら、こう答えたそうです。
「私の夢は大人になるまで生きることです。」
ゴミ捨て場にいる子どもたちはその生活環境から病気やケガで死んでしまうことが多く、中にはそこで走っているダンプカーにひかれて亡くなる子どもも多くあるそうです。そんな様子を見ていたこの少女は、自分も大人になるまで生きることはないと悟っていたのかもしれません。
その後、先生が書かれた本を3冊ほど読みました。
物があふれ、食べ物さえも粗末に扱い、ありがたさを知らない豊かな国があるかと思えば、もう一方には一日中ゴミの中で働いている子どもがいる。一度もお腹いっぱい食べたことがなく、いつも死と隣り合わせで生きている子どもたちがいる。
あるとき、池間さんがその子どもたちにお弁当を渡したところ、おなかがすいてひもじい思いをしていたにも関わらず、「家に持って帰って家族に食べさせたい」と弁当のふたを閉じてしまったそうです。家族を思う子どもたちの姿に目頭を熱くしました。
家族のために身売りをされてしまう少女たち。ハンセン病やエイズと闘う子どもたち。同じ地球上にいながらここまで違う環境で懸命に生きている子どもたちがいる。
この現実を本校の生徒たちにも知って欲しいという思いから、ぜひ池間さんに来ていただいて講演をして欲しいとお願いしたところ、お忙しいにも関わらず、東京から日帰りで来ていただきました。
生徒たちは熱心に聞いてくれました。「命の尊さ」や「生きることの大切さ」をぜひしっかりと感じ取って欲しいと思っています。そして何より、命の危険にさらされることなく勉強ができることのありがたさも。