学校長日誌

【校長室】校長室から 48 (最後の挨拶)

2019年3月29日 15時50分

太子が丘の桜がほころびはじめ、新しくなった「まず健康」の標柱がますます映えるようになってきました。やがて満開になり、新しい仲間や生徒たちを迎える準備が整いつつあります。
3月29日、いよいよこの日がやってきました。正式には3月31日ですが、3月末は土日となるため、学校に勤務するのは今日が最終日です。今日の午前中に山本県教育長から退職の辞令をいただいてきました。5年間の校長としてのつとめが終わります。

この5年を振り返ると、本当に多くのことがありました。
平成27年11月11日には創立130周年の記念式典を倉吉未来中心で挙行し、多くのみなさまにおいでいただき盛大な式典になりました。平成28年10月21日14時7分には震度6弱の大きな地震に見舞われ、校舎に大きな被害を受け、生徒たちはグラウンドに全員が緊急避難しました。すべての生徒を自宅に見送ったのは午後9時を回っていました。余震が続くなか、歴史上初めて祥雲寮を完全に閉鎖し、生徒たちを迎えるまで5日間ほど要しました。図書館の本はすべて書棚から飛び出し、また理科室では実験器具が散乱していました。教務室や事務室、校長室も同様です。そこまでの被害でしたが、学校を休校にしたのはわずかに一日。全職員の力と、ボランティアで学校に駆けつけてくれた生徒や保護者のおかげです。「チーム倉農」の力が発揮された瞬間でした。

この欄では書き切れないほど、たくさんの出来事がありました。そのなかでも特に校長として感じたのは、本校の生徒たちの成長ぶりです。本校では本格的な農業実習を行います。実習は、校内はもとより校外に出かけた実習も数多く体験します。また寮では集団での生活を経験します。他の学校では決してできないことが本校では普通にあり、そのひとつひとつが生徒たちをしっかり成長させています。その活動が報道で数多く取り上げられ、生徒たちの自信につながってきました。また、みなさんからはたくさんの感謝の言葉もいただき、生徒たちの自己肯定感を育んでいます。
授業改革に取り組み続けた結果、今では生徒たちの授業に取り組む姿勢が、明らかに以前より変わってきました。「わかる喜び、できる楽しさ」を感じられる授業づくりのために、先生方も生徒たちのために一所懸命です。
おかげで倉吉農業高校は変わってきたという声をたくさんいただくようになりました。「チーム倉農」で、全教職員で取り組んできた成果だと思います。

私の後任には河本教頭先生に昇任いただきます。5年間にわたり一緒に汗して学校づくりに取り組んできた教頭先生に次の校長になっていただくことは、私にとっては最高の喜びです。さらに学校を魅力のあるものにしていただけると思います。

「國本」という本校の校旗に刻まれた言葉のとおり、農業ほど大切な産業はありませんし、農業の担い手を育てることはもちろん、農業をとおして生徒たちを大きく成長させることができます。倉吉農業高等学校はキラリと光る学校として、今後も鳥取県教育の一翼をしっかり担っていきます。

終わりになりましたが、これまで多くのご声援をいただき、多大なご支援いただいた数多くのみなさまに感謝申し上げ、今後も倉吉農業高等学校のために力を貸していただくことをお願いして、私の最後の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。
そして、さようなら。