「校長室から」
 
 教育のこと、子どものこと、その他私の考えたこと等、校長の視点で保護者や地域の皆様に発信をしていきたいと思います。感想や意見がありましたらお教えください。

「ペップトーク」ってなんだ?

2024年12月10日 17時56分

秋らしい秋が足早に過ぎ去り、あっという間に今年の冬がやってきました。今年も残すところ1ケ月、体調には十分気を付けて師走の日々をお過ごしください。

先月は、「西スタ・デー ~学びの発表会~」を開催したところ、多数お越しいただきありがとうございました。各学年の発表の様子を見て回りましたが、1年生では観覧しておられるおうちの方に感想を求める場面がありました。感想を求められた方は丁寧に感想を言ってくださり、子供たちと会場が一つになってる光景をとても微笑ましく思いました。6年生のマーチングも圧巻でした。2か月余りの練習を経て、発表会当日を迎えました。体育館で練習をしている楽器の音がいつも校長室まで届いていた日々を思いつつ、当日の6年生児童の雄姿に感動した次第です。「西スタ・デー ~学びの発表会~」は児童にとって、自分たちの取組を表現する楽しみな場面であるとともに緊張する晴れ舞台でもあります。私たち教職員は、日々の学校教育の中で、子供たちにどのような声かけをすると、子供たち一人一人やる気が出たり心を落ち着かせたりできるのか、いかに子供たちの心に響く声掛けができるのかを常に考えて接しています。このことは、ご家庭の中でも同じことが言えるのではないでしょうか。

先月、中国地区小学校長会教育研究協議会山口大会に参加して、その中の記念講演が大変興味深いものでしたので、紹介させていただきます。講師に日本ペップトーク普及協会 岩﨑由純 代表理事を迎えて、演題「教育現場に元気を与えるトーク術~スポーツ現場で使われるペップトークとは~」のご講演をいただき、下記のように述べられました。

ペップトークの特徴は、できることを前向きな表現で言葉にする(可能性を言語化)もので、相手を勇気づける言葉かけであり、どんな言葉をどう言うか考え抜くのかは、学校では先生、子育てでは親・保護者の役割である。

大谷翔平選手の言葉もそうです。勝つことだけ考えて、行きましょう。(可能)勝ちましょう。

◇言葉の変換例

遅刻しないで → 時間を守ろう  忘れ物をしないで→ ちゃんと準備をしよう 

やめないで  → やり続けよう  あきらめちゃだめ→ 最後まで信じよう

うそをつかない→ 正直に話して  言い訳しないで → ちゃんと謝ろう

【参考】 金盛 浦子 臨床心理士の言葉より   水のような言葉

小さな子供たちの心には、悪い言葉もいい言葉もまさに砂に吸い込まれる水のようにしみこみます。その水が、心の幹を育てます。

最後になりましたが、先日八頭町教育委員訪問があり、協議の中で委員から「子供たちの取組が学校だけに終わらず、地域のみなさんにも伝えてたくさんほめてもらってください。」とご助言を頂きました。学校は子供たちにとって小さな社会ですが、地域の中に生きる子供たちにとって、地域に育てられ、地域とともに成長する、これこそが本当の「ふるさとキャリア教育」ではないかと思います。子供たちが地域を大切にして地域を愛する大人へと成長するためにも、ぜひペップトーク(子供たちの心に響く温かい言葉掛け)で自分のお子さんはもちろん、地域の子供たちも見守ってくださるようお願いします。

できっこないを やらなくちゃ

2024年12月10日 17時55分

日ごとに秋が深まり、紅葉の美しい季節となりました。先日は、ご多用の中、マラソン大会の応援に多数お越しいただきありがとうございました。

本校の学校経営方針(グランドデザイン)に次のようなめざす子供像があります。

「少し高いめあてを持ち、一生懸命がんばる子供」

具体的には、知・徳・体の体に、「たくましさとしなやかさのある子供」があります。

◆好きでも嫌いでも、楽しくても苦しくても 何事にも全力で向かえる「ねばりっ子」の奨励

◆「一生懸命」活動する子供が認められる集団づくり

◆共に伸びるために互いに励まし合ったり、感謝の気持ちを表現したりできる場の設定

◆体を鍛えると共に、運動の楽しさを味わわせる活動の充実

◆生活の基本をもとにした、基本的生活習慣の定着

◆「立腰」の徹底

これらのめざす子供像のもと、今年度のマラソン大会は下記のようなねらいで実施しました。

【ねらい】

①自分の走力(持久力)を高めようと努力するとともに、目標をもってねばり強く取り組む態度を育てる。

②友達と励まし合いながら練習に取り組むとともに、お互いの頑張りを認め合う態度を育てる。

道徳との関連では、「自分がやろうと決めたことは、最後まで粘り強くやり遂げる。」

児童一人一人が自分のめあてをしっかりと持って大会に臨んでいたと思いますが、めあてが達成できた児童もあれば達成できなかった児童もあると思います。めあてに向かってがんばろうとする姿勢はすばらしく称賛そのものです。ぜひ、ご家庭でもお子さんのがんばりをしっかりと認めてあげてください。

「できっこないを やらなくちゃ」これは、ドラマのイメージソングやCMにも使われた曲 (作詞・作曲山口隆、編曲サンボマスター) のタイトルで、ご存じの方も多いかと思います。この曲中に「あきらめないでどんな時も 君なら出来るんだどんな事も」という歌詞があります。この歌詞は、まさに忍耐とエールそのものです。辛いことがあってもそれとしっかりと向き合って、その苦しさをバネにして自分の目的や目標に向かっていくことであり、忍耐は長時間にわたって耐え続ける力や能力です。似た言葉に我慢がありますが、これは自分の感情や欲望を抑えることを指し、自己抑制や自己制御の要素が強く、他人に迷惑をかけないように自分を抑える意味もあります。

関連する言葉に「Effortless Effort」(努力をしない努力)があります。我慢や忍耐と言った多少の苦労や試練があろうとそれをそこまで負担と感じず、たとえ負担と感じることがあったとしてもそれをも原動力に変えるものです。努力がもはや努力だとも思わずにやり続けられるそんな大人でありたいものですし、これからの未来を生きる子供たちにはそんな大人に育ってほしいと願っています。

夢を持つことの大切さ

2024年9月30日 11時28分

風に揺れるコスモス、日中の残暑はまだまた厳しいものの日に日に朝晩は涼しくなってきました。先日は、ご多用の中、人権教育参観日にお越しいただきありがとうございました。

「自分や友達のよさに気づいたり、様々な人と出会ったりすることを通して、豊かな人間関係を築き、共に生きようとする子供を育てる。」

これは本校の人権教育目標で、子供達が様々な出会いの中で人権感覚を育み、日々の生活に活かして行動できるように日々人権教育に取り組んでいるところです。そして、自分自身を大切にすることはもちろん、友達や周りの人も大切する「自分たちで、つながりつくる学校」を目指しています。自分自身を大切にすることの中に「自分をほめる習慣がついている。」ということがあります。人は誰でも「承認欲求」というものを持っています。自分のがんばりや自分の存在価値を認められたいという潜在的な欲求です。自分をほめることで自分を認めてあげるとともに、親をはじめ周りの人からほめられることも大切で、ほめられると自然とやる気が出たり、気持ちがほぐれたりします。周りの人がほめることで子供の言動を意味付け価値づけすることは、子供にとってはとても大切なことなのです。自分をほめることやほめられることで自分に自信がつき、自己肯定感が上がります。そして、積極的かつ前向きな考えができるようになります。それは、夢や希望に向かって進む姿勢にもつながるのです。

令和6年度全国学力・学習状況調査の質問項目「将来の夢や目標を持っていますか」の本校の肯定的評価の割合は、全国・鳥取県の数値より低く出ています。この結果から考えられることは、郡家西小学校の子供の成長に関わる親、教師他関わる周りの大人が子供に夢を語り、夢を持たせているのだろうかということです。夢に向かうことが生きがいとなり夢を持つことで人生が豊かになります。夢を持つことは、将来に対する期待や明るい見通しの意味もあります。子供にとって、夢や希望を与える親や教師、そして大人でありたいものです。

最後に【夢七訓】(ゆめしちくん)を紹介します。新一万円の肖像であり近代日本経済の父と呼ばれた渋沢栄一(1840-1931)は、【夢七訓】で夢をもつことがいかに大切かを語っています。

【夢七訓】

夢なき者は理想なし。理想なき者は信念なし。信念なき者は計画なし。計画なき者は実行なし。実行なき者は成果なし。 成果なき者は幸福なし。ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず。

幸せになりたい人は「夢」をもたなくてはならない、何事も「夢」をもつことから始まると言っています。このことから、これからの未来を生きる子供たちには「なりたい自分、ありたい自分」をたくさん描いて、その実現のために自分で考え、行動する力を身に付けてほしいと願っています。

2学期がスタートしました

2024年8月28日 09時29分

39日間の夏休みが終わり、2学期始業式を行いました。

さて、今日から2学期となり、校舎には子供たちの元気な声が戻ってきました。近年の猛暑は今年も例外ではなく、お子さんにとっては熱中症を避けるために外出を控え、思い切り外で遊んだり活動したりすることがなかなかできない日々であったことと思います。親子とも一番気がかりな夏休みの課題はいかがでしたか。夏休みの課題が何とか終わりほっとしているのは、お子さんはもちろん保護者のみなさんも同じではありませんか。また、保護者のみなさんは、夏休みの課題が終わった達成感をお子さんと共有する一方で、お子さんとしっかりお話をしたり関わったりしたりしたからこそ、どことなく寂しさも感じておられることと思います。2学期を迎えるにあたり、子供たちは夏休みの思い出に浸りながら学校生活の現実に戻ることへ寂しさを感じる一方、久し振りの登校でしばらく会っていなかった友達に会えるうれしさも感じています。児童の心持ちは、この時期ならではの何とも言えない複雑な気持ちになっています。私たち大人は自らの経験を振り返ってみる中で、この微妙な感じをしっかりと受け止めてあげる必要があります。

夏休み前にお配りした学校だより「至剛」のタイトルは、「夏休みだからこそ、夏休みならでは」でした。お子さんは、やりたいことにじっくりととことん取り組んで、計画通りの過ごし方ができましたか。おうちの方の助言や協力があっての夏休みではありますが、お子さん自身の取組みはいかがでしたでしょうか。計画通りに過ごせたのも夏休み、計画通りにうまく過ごせなかったのも夏休みです。ぜひ、親子でお子さんの夏休みの過ごし方を振り返ってみてください。保護者のみなさんにおかれましては、お子さんとのかかわり方はどうであったでしょうか。お子さんとしては、夏休みの振り返りをいかに2学期からの過ごし方に活かし実行に移すことができるか、これが夏休みを自らの計画で過ごした意味であると考えます。

では、2学期も児童一人一人が主体的に活動し主役となる郡家西小学校教育を進めて参りますので、引き続き、地域・保護者・学校関係者のみなさま、郡家西小学校教育へのご理解とご協力をお願い申し上げます。また、学校生活や家庭教育でお困りのことがありましたら、担任はもちろん本校いずれかの職員にご相談ください。本校職員一同、一学期同様お子さんの健やかな成長を心より願っております

夏休みだからこそ、夏休みならでは

2024年7月22日 14時46分

本日1学期終業式を終え、明日から39日間の夏休みとなります。1学期は、62名の1年生を迎えて334名の全校児童とともに令和6年度郡家西小学校教育がスタートしました。5月25日(土)の運動会は、運動会の演技を全力でやりきる児童の様子とともに、6年生の色別リーダーを中心とした各テントでの応援も立派でした。一糸乱れぬ元気いっぱいの応援風景は感動そのものでした。運動会のめあて「やったるで、みんなが主役」のもと、児童が日々「自分たちで、つながりつくる学校」を目指しているように、自分たちの運動会も自分たちでつながり、自分たちで盛り上げ作り上げたものになりました。また、地域演技「パン食いGO!」や「八頭町音頭」は、老若男女を問わず多数運動会に参加してくださり、地域とのつながりも実感した次第です。

5月31日(金)、4年生の氷ノ山登山も大きな行事の一つでした。あいにくの小雨模様の中、登山予定の児童全員が登頂することができました。仲間とともに登り切った達成感は、思い出とともにこれからの大きな自信になったことと思います。PTA行事は、環境整備・資源回収を予定通り実施していただきありがとうございました。

 ところで、夏休みはどのように決められているでしょうか。夏休みの正式名称は「夏季休業日」で、八頭町立小学校及び中学校管理規則第7条に、休業日は次のようにすると 記してあります。

(1)国民の祝日に関する法律に規定する休日

(2)土曜日及び日曜日

(3)学年始休業日 4月1日から4月8日まで

(4)夏季休業日  7月21日から8月27日まで

(5)冬季休業日 12月26日から翌年1月8日まで

(6)学年末休業日 3月25日から3月31日

(7)その他校長が必要と認めた休業日

夏休みは、児童の心身の休養、通常の生活では経験できない生活や活動の実施、自主・自律の生活態度を養うことが主な目的です。毎年やってくる夏休みではありますが、日々成長している子供たちにとっては毎年貴重な夏休みです。夏休みだからこそ、自由研究や図画工作、家庭科作品作り等にじっくりと取り組んだり、動植物の観察をしたり、ゆったりと読書に勤しんだりできます。子供たちには、ぜひ夏休みならではの経験をしてほしいと思います。今年から社会科自由研究で特にすばらしい作品は、東部地区夏休み自由研究作品展(鳥取市文化ホール)に展示することになりました。どのような作品に仕上げるかは児童自身の取組みによるところはもちろんですが、何よりもご家族のみなさまの助言や協力があってのことです。興味関心のある世界を深めることは、児童自身の可能性を大きく広げることにもつながります。思い出多い有意義な夏休みとなりますように願っています。

では、2学期始業式8月28日(水)には、児童一人一人が楽しい思い出とともに、大きく成長した姿を見せてくれることを楽しみにしています。1学期間、地域・保護者・学校関係者のみなさま、郡家西小学校教育にご理解とご協力を賜り、ありがとうございました。

「当たり前の日常」のありがたさ

2024年7月4日 09時11分

今年は、昨年より少し遅い梅雨入りで、中国地方では統計開始以来3番目に遅い発表となりました。本格的な暑さに向かう中、プールには子供たちの歓声とともに水しぶきが舞っています。暑さと湿度の高さの中、引き続き日々子供たちの熱中症に気を付けながら、夏休みに向けて充実した日々を過ごしているところです。

先日もお伝えしましたが、6月後半のある日、本校児童が下校途中に交通事故に遭う大変痛ましい出来事が起きました。幸いにも、命に別状はなく回復に向かっているところです。本校全校児童には、交通事故発生の翌日に全校集会と学級指導で交通安全の徹底を確認したところです。児童が元気よく登校して、元気よく勉強に遊びにと学校生活を送り、元気よく下校する、そんな日々のありがたさを改めて実感しています。

ところで、私たちは、日々の生活を当然のごとく過ごしている「当たり前の日常」に対して、どれだけ感謝しているのかと問われたとき、どのように答えることができるでしょうか。少しでも「当たり前の日常」が乱れたときあるいは乱されたとき、「当たり前の日常」に対してありがとうと感じることさえ忘れているのが実際ではないでしょうか。

では、ここで問題です。ご存じの方もあるかと思いますが「ありがとう」の反対言葉は何でしょう。「ありがたくない」でしょうか?いいえ、正解は、「当たり前」です。ありがとうは、漢字で表すと「有難う」で、「ある(有る)のが難しい」すなわち「あり(有り)かたし(難し)」)となります。また、「滅多にないこと」、「貴重なこと」が起きたことを「奇跡」と言いますが、「奇跡」の反対言葉は、「当然」とか「当たり前」だそうです。ということは、「ありがとう」≒「奇跡」と言ってもよいことになります。私たちは日々繰り返されるできごとを当たり前と思って過ごしてしまうのは、当然かもしれません。児童においても、日々規則正しく食事ができる当たり前、日々元気よく「行ってきます」「ただいま」と登下校できる当たり前、日々学校に行って勉強ができる当たり前等々、ほとんどのことが当たり前に明日も繰り返されると思いがちです。しかし、よく考えてみると、これらの当たり前だと思えることが本当は「奇跡」の連続で、「奇跡」の連続があるから今があると言っても過言ではありません。言い換えれば、ちょっとしたことで、「奇跡」の連続がある日ある時、あるできごとで乱れてしまうかもしれません。

目の前の「当たり前の日常」は、様々な人々の力を借りて様々な方々の努力や関りのお陰で成り立っています。例えば、現在6年生の家庭科では、エプロンづくりでミシンポランティアの方々に助けてもらっています。友達との助け合いもあり、ミシン縫いの作業が順調に進んでいます。6年生は、ボランティアや友達の助けを当たり前と思わずに、「ありがとう」という気持ちで作業をしているようです。日々の家庭生活や学校生活が、何不自由なく過ごせるに越したことはありませんが、何事もない日常も無ければ何事かがあるのも日常です。陰になり日向になり関わっている方々に思いを馳せつつ、「当たり前の日常」に素直な気持ちで感謝できるそんな自分でありたいものです。

元気は「あげるもの」、希望は「与えるもの」

2024年6月5日 09時06分

木々を渡る風もさわやかで、新緑が鮮やかな季節となりました。5月25日(土)の運動会は天候にも恵まれ、絶好の運動会日和となりました。学校運営協議会の方々をはじめ多くのご来賓をお迎えして、郡家西地区のみなさまと共に運動会が開催できましたことを大変うれしく思います。

運動会では、児童が一生懸命演技をする姿や協力して勝利を目指す姿に元気をもらわれたのではないでしょうか。運動会の演技を全力でやりきる児童の様子もさることながら、6年生の色別リーダーを中心とした各テントでの応援も立派でした。一糸乱れぬ元気いっぱいの応援風景は感動そのものでした。今年の運動会のめあては、「やったるで、みんなが主役」でしたが、児童が日々「自分たちで、つながりつくる学校」を目指しているように、自分たちの運動会も自分たちでつながり、自分たちで盛り上げ作り上げたものになりました。児童一人一人が主役となれた運動会になったと思います。また、地域演技「パン食いGO!」や「八頭町音頭」は、老若男女を問わず運動会に参加してくださり、地域とのつながりも実感した次第です。

児童は毎日、学校生活の様々な場面でも元気あふれる姿を見せてくれることが多く、私たち教職員は多忙な中にあっても子供たちから日々元気をもらっています。そんな中、児童が前向きな気持ちで元気に過ごすこと、何ごとも最後までやり切ったと言えるように一人一人みんなが主役になれるには、何が必要なのかを改めて考えてみました。

子供たちはこれから、私たち大人が生きてきた世の中とは明らかに違う世の中を生きていかなくてはなりません。そのために私たち大人、特に親ができることは何でしょう。それは、「生きる希望を与えてあげること」だと思います。具体的には、親や周りの大人が笑顔で生き生きと過ごすお手本となることです。子供はそれを見て、一つ一つ自分のものにしていくのです。いつも笑顔で生き生きとするのは難しいことですが、不安をあおったり、日々嘆いたり落ち込んだりしているようではいけません。親がよりよい姿を子供に見せること、そして、よりよい体験の場を提供することです。親子関係で大事なのは、認めることとほめることです。結果とともにがんばる過程をしっかり認めてほめていくことです。愛されているという思いを実感させるとともに自分に自信を持たせることで、直面する困難に挑戦しようとする意欲を持たせることができます。大切なのは、子供の自己決定(自分で決めさせること)を大切にすることです。親が共感して、子供の自己決定とその過程と結果をしっかりと支えてあげるエンパワーメント(empowerment)を図ることで、子供は元気が湧いてくるのです。

※エンパワーメント【湧活】 (ゆうかつ)とは、子供に夢や希望を与え、勇気づかせ、子供が本来持っているすばらしい、生きる力を湧き立たせることです。

私たち大人は子供から元気をもらっていますが、まずは親をはじめとする周りの大人が子供に元気をあげること、そして希望を与えることが大切ではないでしょうか。

※参考:安梅勅江(あんめときえ)筑波大学教授

あいさつは自分の心が開いていること

2024年4月30日 15時05分

新学期がスタートして約1か月が経ちました。児童は少しずつ新しい学年学級に慣れてきて、落ち着いた学校生活を送っています。一方、朝の内ではありますが、児童の中には自分の意思表示の一つとして泣いたりぐずったりする姿も見せるようになりました。児童は、学校に行きたくない、行かないといけない、早く行きたい等、様々な気持ちで登校しています。児童の素直な気持ちをしっかりと受け止め、また、登校を行き渋る児童の気持ちにもしっかりと寄り添いながら、児童が安心して明るく元気よく通いたい学校経営に努めて参ります。

さて、本校児童の自治的な活動の一つに、今年度も児童玄関で運営委員会が行っている「あいさつ運動」があります。毎朝、元気なあいさつの声が児童玄関いっぱいにこだましています。私は児童玄関や1年教室横の階段付近に立つことが多いのですが、児童のあいさつの仕方は様々で、自ら目を見て元気よくあいさつをする児童、こちらがあいさつをすると返してくれる児童、私のあいさつに恥ずかしそうに目を合わせることなく通り過ぎてしまう児童等がいます。相手の目を見て自ら進んであいさつができることに越したことはありませんが、まずは知らない顔をして通り過ぎるのでは無く、軽い会釈からでも始めましょうと伝えています。あいさつは、強制するものや相手に媚びを売るものでもありませんが、あいさつをされて嫌な気持ちになる人はありません。あいさつは、『挨』…心を開く、『拶』…相手に迫る、 つまり「心を開いて、相手に近づくこと」という意味が込められているそうです。

「おはようございます」は、「早くから、ご苦労様です。」

「こんにちは」    は、「今日(こんにち)はご機嫌いかがですか。」

「こんばんは」    は、「今晩(こんばん)は、よい晩ですね。」

あいさつの言葉は、相手に対する思いやりを込めたメッセージで、自分の心が開いているからこそできるものです。まずは私たち大人が心を開き、大人同士で思いを込めてあいさつをしている姿を子供たちに見せることが大切です。ぜひ、あいさつの大切さを保護者から伝えていただき、ご家庭の取り組みと共に学校でも取り組んでいきたいと考えています。

ではここで、今年度の学校運営について特に意識していることをお話します。本校教育の特色ある取組みの基盤となっているのが特別活動です。昨年度は、色別なかよし(縦割り)班活動を中心とした仲間づくりに取り組んでいましたが、今年度は、兄弟学年(1・6年、2・4年、3・5年)での交流を深めることで「自分からつながりつくる学校」を目指します。

当面の大きな取組みとしましては、5月25日の運動会の取組みです。色別なかよし(縦割り)班活動はもちろん、兄弟学年で運動会種目を考えつながりつくる運動会を目指します。

児童同士、保護者同士、学校と家庭・地域がしっかりとつながっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

令和6年度がスタートしました

2024年4月25日 14時22分

保護者・地域・学校関係者の皆様、今年度は新一年生62名が入学して、全校児童334名、教職員47名で、令和6年度郡家西小学校教育がスタートです。

私は、本校勤務2年目となりました 葉狩 学(はがり まなぶ)と申します。八頭に生まれ育ち、以前郡家東小学校に8年間、教諭・教頭として勤務しました。また、八頭町教育委員会事務局に4年間勤務して、当時は町内小中学校の統廃合に携わりました。そして、縁あって昨年度より郡家西小学校の校長として勤務しております。

郡家西小学校の校訓「至剛」について、本校の児童にはこの校訓のもとで、「心と体の強い郡家西の子供」になるよう話しています。昨年度末の学校だよりでお伝えしました通り、心が強いと言いましても、心の強さには大きく2つの力があると考えています。一つ目は、「困難なことに直面しても、くじけずにあきらめない力」です。自分に向き合い、自分のすべきことを考えて行動することで、困難なことに打ち勝つ力です。二つ目の力は、「自分以外の人に、温かく接することができる力」です。人を分け隔てすることなく、誰に対しても温かく接して包み込める人こそが、心の強い人であると考えています。この校訓を受けて、本校の学校教育目標「心と体のつよい子供の育成」 ~明るく楽しくて、人と人がつながる学校~ があります。そして、学校だよりの冒頭にも書いていますように、下記のような子供の姿をめざしています。

■少し高いめあてを持ち、一生懸命がんばる子供

■学ぶことに喜びを感じ、自分を高めようとする子供

■自分で考え自分で判断して行動する子供

■自分も人も大切にし、自分を支えてくれる人・もの・ことに感謝できる子供

本校の子供たちの、知(自ら考え学び合う子供)、徳(よりよい人間関係を築ける子供)、体(たくましさ、しなやかさのある子供)をさらに成長させた学校づくりに努めてまいります。そして、今年度も保護者や地域の皆様、子供たちとともに知恵を出し合いながら、よりよい郡家西小学校教育を作り上げて参ります。

本校は、特別活動の研究に取り組んで5年目を迎えました。学級会での話合いを大切にして、係活動や委員会活動、なかよし班や兄弟学年の活動を通して、「自分たちで つながり つくる学校」を目指しています。どの子供も一人一人が安心して学び、笑顔あふれる郡家西小学校となるよう、引き続き保護者、地域の皆様には温かいご支援ご協力をいただきますようよろしくお願いいたします。

「心の支度」と「心の器」

2024年2月24日 17時31分

 1月下旬は強い寒気とともにまとまった降雪があったものの、山陰地方に降る雪の量は平年より少なく、1月に計画していました本校のスキー教室は延期することになりました。雪が少ないのは日々の生活がしやすくありがたいのですが、例年と違うこの冬の状況を心配しているのは私だけでしょうか。まずは、2月15・16日に延期しているスキー教室が、予定通り行えることを願っています。

 突然ですが、みなさんは子育てで大切にすべきことは何か、考えてみられたことがありますか。私が考えるには、大きく二つを身に付けさせることだと考えています。一つ目は、自分の力で生きていけるような自立した生き方の基礎を身に付けさせることです。二つ目は、世の中の多くの人たちと共に生きていくために必要なルールを身に付けさせることです。これらは、先に生まれた私たち大人の責任であり使命でもあります。教師である私が言うのも何ですが、親や先生は目の前の宿題や提出物ができていないと特に気になってしまいます。それは当然のことであり、きちんと取り組むことができる子供になるように支え育てていくのは大人の責任の一つだからです。また、楽な道ばかりを選ばない、簡単にあきらめたり妥協したりしない姿勢を身に付けてほしいと願うのも、親だからこそです。そのためには、我が子はもちろん周りの子供も巻き込んだ子育てが効果的です。人は人と人との関わりやふれあいによって学ぶことが多く、その中から礼儀や善悪の判断を学び、人の中で生きる安心感とともに様々な人を受容しようとする広い心が生まれます。また、叱ったり指摘したりしてくれる大人の存在は貴重ですが、昨今の社会状況ではそうした光景がめっきり少なくなりました。誤った言動を叱ってくれた人・指摘してくれた人に対して素直に「ありがとう」と思える「心の器」を作っていくことも、親をはじめとする周りの大人の姿勢次第です。

 私にとって身近なところでは、本町教育にご尽力された兵庫大学教育学部教授 林 敦司 氏(前船岡小学校校長)が、道徳教育2月号の論説で、下記のように子供の心に「人間」を受け入れる「心の支度」の大切さを述べています。

 子供の心の中に、人間の生き方に感動したりそこから何かを学んだりする「心の支度」ができていないと、出会った人物の生き方に対して他人ごとになってしまうので、日頃からたくさんの人に出会わせるとよい。 (抜粋の上、一部修正)

 繰り返しになりますが、大切なのは子供自身に大人の愛を感じられるようにしつつ、ものごとをしっかりと受け入れる「心の支度」と「心の器」を育成することであり、家庭教育を基盤に子育てに関わる全ての大人が手を携えて取り組んでいくことです。1月下旬の大雪のとき、6年担任の声掛けをきっかけに登校してきた6年生児童が率先して児童玄関前の雪かきをしてくれました。郡家西小学校児童には、ものごとをしっかりと受け入れる「心の支度」がある程度育っていると実感すると同時に、「心の器」も大きくなりつつあるのではないかと思った次第です。

「2月は逃げる、3月は去る」と言われています。今年度も残りわずかとなりましたが、引き続き本校教育へのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。