学校長日誌

【校長室】校長室から 41 (コメの快進撃)

2018年12月5日 10時07分

学校日誌にも掲載されていますが、本校の生徒たちが育てたお米の快進撃が続いています。
先日、岐阜県高山市で開催された「全国農業高校お米甲子園」に、生徒4名と参加させていただきました。4名はこの一年間行った米の栽培プロジェクトについて、プレゼンテーションを行いました。最終ノミネートに残ったのは全国からわずか3校のみ。いずれの高校も素晴らしい発表でした。どきどきしながら審査結果の発表を迎えましたが、その結果はグランプリでした。見事全国のトップに立ったのです。
また、本番のお米「縁結び」も見事金賞を獲得しました。表彰式を終えて審査結果が表示されているところに行きましたが、本校の得票数は「17」。最高金賞をとった長野県の農業高校の得票は「18」。わずか1票差での2位でした。審査員30名が15校の15検体からベスト5を選んで投票するのですから、審査員の票の総数は150票。そこでの1票差はまさに僅差でした。
続いて山形県で開催された「あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト」でも、最終審査に残った本校の2品種「ミルキークィーン」と「いのちの壱」がいずれも「優秀金賞」を獲得しました。
いずれの大会でも最終審査に残ること自体が素晴らしいですが、その中でも賞を獲得するのは全国の農業高校では本校だけです。
そして、12月7日からは静岡県で「お米日本一コンテスト」が開催され、本校から「縁結び」が最終審査に残っています。今までエントリーはしてきましたが、初の最終審査です。しかもこのコンテストで最終審査に残った農業高校は大会史上初めてだとか。プロ農家や農業生産法人を相手にした農業高校生の戦いです。
快進撃はまだまだ続きます。

最後に私事で恐縮ですが、このたび文部科学大臣から教育者表彰を受賞する栄誉をいただきました。皇居にも特別参観させていただき、天皇皇后両陛下に拝謁してお言葉をいただきました。私がというより、学校が、先生方が、そして生徒が一緒に受賞したと思っています。これまで支えていただいたみなさんに感謝しております。

【校長室】 校長室から 40 (HACCPとお米甲子園、全国農業高校収穫祭)

2018年11月14日 11時57分

先週の9日(金)に、ふたつのビッグニュースが飛び込んできました。

ひとつは、本校の食品が肉加工品では全国の高等学校で初となるHACCP(ハサップ)の認証を受けることが決まったというニュースです。昨年から本校の食品担当者が、まさに必死となって取り組んできました。手順書を作成し、倉吉の保健所から指導をいただき、やっとここまでたどり着きました。
食品衛生法が一部改正され、販売する限りHACCPの取得が義務付けられるとか。卒業後は食品関係に就職をする生徒もあり、生徒たちにも還元できる認証取得だと思っています。やがては他の加工品でも取得を目指していきます。認定証の授与式は16日(金)午後1時から本校校長室で行われる予定です。

ふたつめは、「全国農業高校お米甲子園」で今年も最終審査に残ったという連絡が米・食味鑑定士協会から入りました。ここに残ることができるのは全国でわずか15校です。いろいろな農業高校からは、この最終審査に残ることが目標だという話しを聞きます。そんなに難関なものですが、本校は4年連続4回目となります。平成27年には最高金賞をいただき、全国一に輝きました。最終審査は審査員30名の官能試験なので、そう簡単にはいきませんが、何とか上位を狙ってほしいものです。今年最終審査に残ったのは、「縁結び」という品種です。いい名まえですね。
またこの大会では、別にプレゼン部門というのがあります。こちらにも最終審査に残っています。ダブルでの最終審査ノミネートです。
最終審査は11月27日(火)に岐阜県高山市で行われます。4名の生徒が参加します。大きな声援をお願いします。

そして、今月10日、11日と、大丸東京店で「全国農業高校収穫祭」が開催され、本校からも生徒4名が参加しました。ちょうど別の出張が東京であったため、幸いなことにこの様子を見ることができました。
全国から参加した農業高校は21都道府県から46校。本校は大丸店12階で開店しました。他に八重洲地下街にも出店する学校もあり、大盛況でした。多くのお客様に来店いただき、生徒たちもたいへんだったようですが、おかげさまですべての商品を完売しました。生徒たちは、全国の農業高校生に交じって、「全国の仲間」を実感したようです。

【校長室】 校長室から 39 (最後の倉農祭)

2018年11月4日 15時34分

11月2日から始まった倉農祭が今日で終わりました。
今年は天気に恵まれて、昨日の農産物販売は本当にすごい人出でした。日ごろは生徒たちが通う校内の道路に、銀座の歩行者天国に負けずとも劣らないくらいに、多くの皆さまにおいでいただきました。しかもおいでいただいた方々の年齢層の幅の広いこと。改めて地域の皆さまに愛されている学校なんだと感じています。目当てのものは購入できましたでしょうか。生徒たちが日ごろの実習で丹精込めて作り上げた品物ばかりです。しかし、販売そのものが目的ではないので、数量には限りがあります。購入できなかった方には、たいへん申し訳なく思っております。近いうちに「のうこう市場」を開店しますので、その際にはぜひおいでください。

また今年もたくさんのPTAの皆さんにもご協力いただきました。せっかくのお休みの日なので、家でゆっくりされたかったかもしれませんが、前日から、また当日の朝早くからも、精力的に準備をいただきました。「まるで製造工場のようにてきぱきと作られていた」と聞きます。その姿から生徒たちも、多くのことを学ぶのだろうと思います。

さらに、本校では、PTAの同窓会の皆さま(錦野(にしきの)会)も活動され、持ち寄られた様々なものを販売されます。いつもながら賑わいの一翼を担っていただいています。売り上げの一部は生徒たちの活動資金に寄付いただきました。感謝感謝です。

終わりになりましたが、何より生徒たちが本当に頑張ってくれました。特に3年生は倉農祭を一生懸命に盛り上げてくれました。今年ほど生徒たちの活躍が随所で見られたことはなかったのではないでしょうか。来年度以降につなげることのできる倉農祭でした。やっぱり僕の自慢は生徒たちです。みんなありがとう‼‼‼

そして、僕にとっては最後の倉農祭になりました。昭和56年に教員になってから関わってきた倉農祭ですが、最後は校長として迎えることができたのは本当に幸せなことでした。これまで支えてくれた多くの生徒の皆さん、保護者の皆さん、たくさんの先生方、地域の方々、すべての人に感謝を込めて、僕にとっての倉農祭の最後の幕を下ろしたいと思います。

【校長室】 校長室から 38 (太子が丘は秋です)

2018年10月19日 12時27分

10月も半ばが過ぎ、秋の気配を感じられるようになってきました。太子が丘の緑も、あの夏のようなギラギラした緑ではなく、少しずつ秋色に近づいています。ぜひおいでください。
先日、米子市で開催された全国高校生手話パフォーマンス甲子園に、鳥取県高等学校長協会長として参加させていただきました。全国初の手話言語条例が制定された鳥取県は「手話の聖地」と呼ばれています。この大会は今回で5回目ですが、全国各地から予選で選ばれた20チームが参加していました。
私がまず驚いたのは、出場している高校生たちの手話のレベルの高さです。まさに手話が言語として成立していましたし、出場した高校生の表現力の高さにも驚きました。とても見ごたえがありました。ぜひ多くの方が来年は見られたらと思います。来年は倉吉市で開催される予定です。
また、この大会には本校の生徒たちもボランティアや販売コーナーで参加しました。開催日は日曜日でしたが、この大会を陰でしっかりと支えてくれた生徒たちに感謝したいと思います。詳細は学校日誌をご覧ください。
さらに先日は食品科の生徒たちが東京アンテナショップで販売実習を行いました。いらっしゃったお客さまから、「とにかくとてもおいしいのよ。また購入したい。」との声をいただいたようです。こういったひとつひとつの経験が生徒たちをしっかり育てています。

【校長室】校長室から 37 (中学校初任者研修開催)

2018年9月27日 17時17分

昨日、橘こころさんの講演会が開催されて出かけました。
橘さんは大ヒットとなった「ビリギャル」のモデルになった小林さやかさんのおかあさんです。今年5月に小林さやかさんの話しを聞く機会があり、そのときにどんなおかあさんで、どんな子育てをされてきたのだろうと、とても興味がありましたが、早くもその機会をいただきました。映画を見られたことがある人はたぶん同じような興味を持たれたことでしょう。
子ども3人とも成績が学年びりで、まわりからダメ親と言われながらも、子どもを信じること、ほめること、怒らないことが子どもたちに自己肯定感を持たせ、能力を引き出すことだという話しをされました。映画でも描かれていますが、まさにそれを徹底されていました。また、子どもがワクワクすることを見つけたとき、親が「自分ならできる」と肯定することで爆発的な能力を発揮する。このことが主人公のビリギャルの偏差値を40上げて慶応大学に合格させる力となったのだろうと思います。授業もそのワクワクする気持ちを生徒たちに持たせることが大切なのだろうと感じました。

本日は初任者研修(中学校・義務教育学校)が本校を会場にして開催されました。参加者は19名です。この春から中学校教諭として採用となった若々しいフレッシュな方々でした。
講話ということで30分ほどいただいて話しをさせていただきました。冒頭では、その講演会の話しをさせていただきました。
今日の参加者のほとんどは普通科高校の出身だと思います。農場という大きな舞台で生き物を相手に奮闘している生徒たちや、その生徒たちを相手に自然豊かな環境の中でのんびりと暮らしている動物たちを見ていただきました。生徒たちは本校での様々な体験をとおしてしっかりと育っています。その生徒たちは僕の自慢でもあります。
倉吉農業高校が「知らない高等学校」から、生徒たちの進路選択先として「勧められる高等学校」に変化したかなと思います。子どもたちの個性は千差万別です。それぞれの個性をしっかりと見ていただき、幅広い進路指導をしていただきたいと思っています。
生徒たちの未来を一緒に寄り添って築き上げることができるのは教師の醍醐味です。その教師という素晴らしい職業を選ばれたことにエールを送りたいと思います。

【学校】校長室から 36 (夏が終わり)

2018年9月11日 09時34分

昨年のパソコンの更新からこのページに入力できない状態が続いて、気が付いたら、前回の掲載からすでに1年もの時間がたってしまいました。たいへん申し訳ないと思っています。
今年の夏は7月の西日本豪雨から始まり、35℃を超える猛暑日が続き、さらに何度も来襲する台風と、かつてない異常気象だったと思います。でもそんな中でも本校の生徒たちは、熱中症になることなく、農場の管理に汗してがんばっていました。こういった経験が生徒たちをしっかりと成長させているのだろうと思います。

本校の寮には綱領が定められていますが、それは次のようなものです。
 誠実と敬愛
 強健な身体と不屈の意志
 近代農業の創造と開拓精神

祥雲寮は昭和42年に最初の寮生が入ってから、50年を超える歴史があります。その寮生が毎日唱和しているのがこの綱領ですが、まさに「強健な身体と不屈の意志」がこの夏に発揮されたのではないかと思います。この先どんなことがあっても、この綱領を思い出してがんばってほしいものです。

校長室から 35 (二学期始まる)

2017年8月30日 14時14分

28日に二学期の始業式を行い、いよいよ一年で一番長い二学期に突入です。
表彰伝達式では1学期の終業式に多くの表彰を伝達したのにかかわらず、またたくさんたまっていました。測量競技会やフラワーアレンジメントコンテストなど、県で一番の表彰もありました。生徒たちのがんばった成果です。
始業式を終えたあと課題テストを行い、今日は基礎学力診断テストを行いました。2年生はインターンシップに備えてのマナー講習をしています。盛りだくさんな二学期のスタートです。
さて、この夏休みには多くの生徒たちが活躍してくれました。
北海道酪農実習ではふたりの生徒が酪農家に泊まり込みの実習を三週間にわたって行い、心も体も大きく成長して帰ってきました。慣れない生活で不安も多かったかと思いますが、それを乗り越えて長期の実習をこなしました。昭和31年から始まった鶴居村との交流が昨年で60年という大きな節目を迎え、鶴居村の大石村長さんをはじめ、多くの人にお祝いをしていただきました。ふたりはしっかりとその歴史をつないでくれています。
また、ニュージーランドにはふたりの生徒が三週間にわたる研修に出かけました。こちらもホームステイをしての研修でしたが、英語力を駆使して何とか乗りきったようです。始業式のあとの報告会では山田さんが英語を使って報告していました。見事なものでした。
インターハイ柔道競技に出場した女子柔道部の応援に福島県の郡山市まで出かけました。鳥取県で優勝したとはいえ、何といっても全国の強豪チームが相手。女子生徒の左胸には「倉農」の文字。そして背中には「倉吉農高」と選手の名前のゼッケンを背負い激しい攻撃に耐えながらも、常に攻撃することを忘れずに、懸命に戦っている姿に感動しました。健闘を称えたいと思います。誇りに思っています。



今年の夏はこのように多くの生徒たちが大活躍してくれた一方、猛暑の続くなかで多くの生徒が農場の管理に汗を流してくれました。誰ひとり熱中症で倒れる生徒もいなく、「強健な身体と不屈の意志」という祥雲寮の綱領そのものだったように思います。
二学期でもその力を発揮してがんばって欲しいものだと思って期待しています。

【学校長】校長室から 34(創立記念日)

2017年6月5日 11時50分

明治18年(1885年)6月5日に誕生した本校は132年という歴史を重ねました。明治15年当時の公立の農業教育機関は全国で11ほどしかなく、本校の前身である郡立倉吉農学校はその一つです。全国でもっとも古い農業高校のひとつといわれるゆえんです。県立に移管された明治18年をもって開校としていますが、明治18年といえば第一回の帝国議会が開催された年です。倉吉ではまだ電気も通っていなかった時代。近代農業の発展とともに本校の歴史があります。
そして設立の議案書には「世界の中の日本の現状に鑑み・・・農業の発展を目ざして農学校を構想した」とあるなど、明治の時代のこんな地方から世界に目を向けていたことがわかります。情報も今ほどではなかった時代に、世界の中における鳥取県農業を思っていたことに改めて驚愕します。
その議案書を作成し,本校設立のために力を尽くされた山桝友蔵の子孫の方々が先日本校においでになりました。遠い先祖が設立された学校を見られて感慨ひとしおだったようです。山桝友蔵は本校設立のあと北海道開拓に向かわれました。今でも北海道由仁町には「山桝」という名前の集落があります。このたびの山桝会にはその集落からもおいでになっていました。わずか4年で冷害のために挫折され帰郷されましたが、その名前は集落の名前として残されています。なかには今でも山桝友蔵の遺影が掲げられている家もあるとか。友蔵は「大切な恩人」として、今でも大切に慕われているそうです。そんな人に創設された倉吉農業高等学校です。

校長室から 33(新年度を迎えて)

2017年4月7日 15時42分

一度筆を置くとついつい止まってしまいます。悪い癖です。
今年に入ってから初めての投稿です。お待ちになっていた方(?)には申し訳ありません。
この冬は2度の大雪に見舞われました。しばらく大雪ということがなく、地球温暖化が言われる中、この先は大雪なんてないかなと思っていましたが、自然災害に気を許してはいけないとつくづく思いました。地震にしても、鳥取県中部にあんな大きな地震が来るなんて想像もしていませんでした。備えは大切ですね。
一昨日から桜台の桜が咲き始め、昨日あたりから一斉に開花しました。今日の始業式にあわせたような開花でした。始業式で生徒たちには話しましたが、いい一年になればいいなと思っています。学校は気持ちのいいスタートを切っています。
そして今日の着任式で新たに9人の先生方をお迎えしました。全体の中では少しですが、職員全体がリフレッシュしたように感じるのは私だけではないと思います。
いよいよ来週の月曜日10日には新入生を迎えます。この日は入学式と入寮式があります。新たな一年が始まります。毎年のように報道に取り上げられる生徒たちの活動ですが、今年はどんなところで活躍してくれるのか、校長としてとても楽しみにしています。

校長室から 32(ダブル金賞受賞)

2016年12月8日 09時35分

12月に入り寒い日が続いています。降雪までにはまだ少し時間がかかりそうですが、やがて学校もすっぽりと雪景色の中に埋もれるかと思います。農業実習更衣室にはまだブルーシートがかかったままです。体育館の外壁も崩れ落ちたままになっています。学校の周辺の民家も被害を受けた家が多く、ブルーシートがあちらこちらで見られます。地震が起きてからもうすぐ2ヶ月になろうというのに、見た目では復興したようには見えません。雪深いこの地方では、やがて雪が降り寒さが増してきます。被害を受けられた方にとっては厳しい冬がやって来ます。一日も早い復興を願っています。
暗いニュースが多い中、本校産の米が昨年に引き続き快挙を成し遂げました。詳細はそれぞれホームページ上に紹介されていますが、「あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト」、「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会(全国農業高校お米甲子園)」いずれにも優秀金賞をいただきました。「あなたが・・・」には454点(一般を含む)が出品され、「全国農業高校お米甲子園」には199点が出品された中での受賞です。最優秀金賞がそれぞれ1点、優秀金賞がそれぞれ6点でしたが、両方とも優秀金賞以上を受賞したのは全国でも本校だけでした。栽培を担当した生徒たちは山形と熊本に出向いて表彰式に臨みましたが、きっと今までの努力が報われた思いをしたのではないでしょうか。受賞した「コシヒカリ」と「ミルキークィーン」は本校の窓口でも販売しています。また今月21日に予定している「のうこう市場」でも販売しますので、ぜひ全国トップレベルのお米を一度食べてみてください。やみつきになるかもしれません。