学校長あいさつ

 第30代校長 三谷 徳彦
IMG_3887

 この度、校長に就任しました三谷徳彦と申します。

 本校は明治42年、鳥取県立倉吉中学校として創設され、今年創立117年目を迎える伝統校です。この間一貫して、有為な人材を世に送り出してきました。同窓生のみなさまは、地元倉吉や鳥取県はもとより、全国で、あるいは世界で活躍され、様々な分野で社会に貢献してこられました。

 明治・大正・昭和・平成・令和と時代を重ねながら、本校は様々な教育活動を実践し、高い評価を得てきました。4日間にわたって生徒主体で行われる学園祭、他国の風土に触れ、日本とは異なる価値観や文化を学ぶ海外研修旅行、上級生が下級生を指導するチューター制度など、卒業するときに生徒が胸を張って語ることができる行事と、教職員が親身になって取り組む進路指導とが本校の良き伝統となっています。また、鴨水同窓会や育友会(PTA)と学校との協力体制、そして生徒と教職員の間に構築される強い信頼関係が本校の財産です。

 一方、私たちを取り巻く環境は年々複雑で不透明になっています。スピードと行動が求められ、たえず変化し要求の多い現代社会は、「不安定・不確実・複雑・曖昧」を表す英単語の頭文字をとってVUCAな世界と呼ばれています。しかし、先行きが見えない社会にいることは、視点を変えれば、無限の可能性をもつことができる社会に私たちは存在しているととらえることができます。学び続けることをとおして一人ひとりが成長し、新たな価値を生み出せる人材を育成する、倉吉東高校はそんな学校でありたいと考えます。

 このため、本校は、国際バカロレア(IB)教育の導入を決め、令和5年9月にワールドスクール(資格取得が可能な高校)となりました。このIB教育は1学年20名までとなっていますが、その理念を生かした教育活動を全校で展開することとしています。この思いは、本校スクールミッションにおいて、全日制は「自ら学びを深めながら、世界に通用する論理的思考力や表現力、コミュニケーション能力を身に付け」、定時制は「主体的に学ぶ力や協働的に実践する力を身に付け、自らの夢や目標に向かって粘り強く取り組む」という言葉でそれぞれ具体的に表現されているとおりです。

 私は、校長として、学校は「学びの場」であり、「生徒一人ひとりが輝ける場(あるいは輝ける場を与えられる場)」でありたいと思っています。本校の校歌は、生徒を花に例え、高校生活を謳歌できるようにと願い作詞されています。生徒が校歌の歌詞のとおり「光を受けて こぞり咲く 花なり 若き 友我ら」となることができるよう、全教職員とともに信念と情熱をもって本校の教育活動に取り組む所存です。良き伝統の中に新たな息吹が感じられる、活気と品位のある学校づくりを進めて参りますので、保護者、同窓会、地域のみなさま、今後ともご支援・ご指導賜りますようよろしくお願い申し上げます。

令和7年4月 倉吉東高等学校長 三谷 徳彦

県外視察(5) 県立千葉高等学校1

2013年1月4日 00時00分

 新年あけましておめでとうございます。今年が皆様にとりまして素晴らしい年となりますようお祈り申し上げますとともに、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 さて、昨年末から県外視察のご報告をしています。最後に訪問した学校は県立千葉高等学校です。この学校は平成20年度より併設型中高一貫校となっていて、各学年80名の中学生を通学させています。現在高校2年生まで進級しています。
 近年の主要大学進学実績(22年度・23年度・24年度)は
    東京大学(22・19・31) 京都大学(8・4・9) 東京工業大学(12・22・20) 北海道大(5・10・5) 東北大(13・9・9)         
    大阪大(4・3・6) 一橋大学(8・15・5) 千葉大学(40・36・39) 
    慶応大学(99・116・106) 早稲田大学(173・169・204)
などとなっていて、進学率は平成21年度(59.2%) 22年度(53.3%) 23年度(58.4%)となっています。 
 特徴的な取り組みを列挙しますと
  ・部活動の時間制限なし ・中高一貫5年目(中学入試倍率14から15倍) ・センター試験後に3年学年末考査 ・OB著名人の講
  演多数 ・校内模試、業者模試年間各1回 ・芸術科目全員4単位必履修 ・課題研究と成果の集大成としての千葉高ノーベル賞
  ・高校入試倍率約4倍(合格最低点9割程度) ・自習は出さない(授業を振り替える)
などです。

県外視察(4) 浦和高等学校2

2012年12月30日 00時00分

 先回浦和高校のお取り組みとして、男子高の強みを活かした行事が多いと申し上げました。例えば生徒全員が10キロを走る新入生歓迎マラソン、遠泳(2キロ)を山場とする臨海学校、50キロを7時間以内で完歩する強歩大会等、かつては本校もやっていた旧制中学以来の伝統行事が、今日でも行われています。また、校内での服装は制服があるのですが、正課体育の服装がラグビージャージ(学年ごとに色が違います)で、12月の訪問でしたが、多くの生徒が制服を脱いだジャージ姿でした。校内スポーツ大会(バスケ、バレー、卓球等)が頻繁に行われ、ラグビー大会(クラス対抗のトーナメント方式)も行われているようです。
 浦和高校の教育方針を短くいい表わせば、無理難題を生徒に課す、少なくとも三兎(教科学習、学校行事、部活動)を追う、大学受験に合格する事は当然のこととして、世のため人のためになる人生を送るために、高校時代に身につけるべき資質や態度を躊躇なく養うといった強い意識が感じられました。恵まれた資質や豊かな家庭環境を自分のためだけに活用する、といった意識が強い現代の高校生気質にあって、こういった骨太い教育を行っている高校はそう多くはないように思います。本校で言う個人的自己実現から社会的自己実現へという教育目標も、同種の考え方だと思います。

県外視察(3)浦和高等学校1

2012年12月28日 00時00分

 次に訪問した学校は埼玉県立浦和高等学校です。この学校は「尚文昌武(文を尚び、武を昌(さか)んにす)」を校訓とする明治28年創設の伝統校です。この学校の特徴は何と言ってもこの近隣では例のない男子高ということです。北関東から東北地方にかけては、現在も一定数の公立男子高や女子高があります(私立では多くの男女別学が存在します)。
 24年度の主な進学実績:東京大学40 京都大学7 東京工大11 一橋大学14  北海道大学13 東北大学22 早稲田大学182 慶応義塾大78 上智大学25
 特に東京大学では22年度29名、23年度30名、そして今年度40名と大きく合格者数を伸ばしました。全国の公立高校の中で東京大学合格者数30名以上はごく稀なのですが、40名は多分今年の全国№1ではないかと思います。躍進の原動力は授業第一主義とのことで、各教科は授業を何よりも大切にして、授業で勝負をモットーとしているとのことでした。また男子高という強みを活かした、男らしい行事を数多く実施していらっしゃいました。 

県外視察(2)大宮高等学校2

2012年12月27日 00時00分

 大宮高校では65分授業、2学期制、土曜授業(年間17日程度)、長期休業の短縮等を行っていて、授業時間数の確保に努力されていることが分かります。学校行事や部活動は、育むべき生徒の資質を育成する大切な時間です。この時間を保障するためには、逆に授業時間をいかに確保するかが重要です。学力を取るか、部活動を取るかの二者択一論では多くの生徒保護者を納得させることはできないと考えます。限られた時間の中で、このことをいかに両立させるかを本校でも常に考えていかなければなりません。
 また、大宮高校では一年オリテンキャンプ、担任面談の重視、卒業生との懇談会、学習合宿(5泊6日)、進路検討会等、本校の取り組みと大変よく似た行事を実施されています。更に、教員の手による難関大学入試問題分析を毎年丁寧に行い、分厚い冊子を刊行して全生徒に配布しておられます。これはかなりのエネルギーがいることで、本校でも一部の教科が行っていますが、全ての教科で出来ているわけではありません。
 大宮高校の教育を概括すると、学校での手厚い指導によって、塾にたよらず3年間で高い学力と社会で必要とされる資質や能力を育成する意識が強く感じられます。本校のとって励みとなる訪問となりました。

県外視察(1)大宮高等学校1

2012年12月20日 00時00分

 今月2日と3日に県外視察として埼玉県と千葉県の高等学校を訪問して来ました。訪問した3校はいずれも全国の公立高校をリードする超進学校です。そのご報告をしてみたいと思います。
 最初に訪問したのは埼玉県立大宮高等学校です。埼玉県の中心には以前から進学実績が抜群に高い県立浦和高等学校と浦和第一女子高等学校があり、それぞれ男子高、女子高です。大宮高校は共学高の強み(?)を生かして、ここ10年ほどでこの2高を急追している感じです。学校経営の基本姿勢は本校と非常に似ていると感じます。手厚い指導で塾や予備校にたよらず現役で難関大に合格する力を付けること、学業と部活動の両立を図ること、この点でも本校とよく似た考え方であると思います。
通塾率 1年:5.3%、 2年:8.5%、 3年:4.6%
部活動加入率 入学時:97.6%、3年5月:99.4%
24年度の主な進学実績:東京大学17 京都大学3 東京工大9 一橋大学7 北海道大学6                       
               東北大学8 早稲田大学114 慶応義塾大63 上智大学64

専攻科と補習科(7)

2012年11月14日 00時00分

 昨年来、専攻科閉科後の対策として検討を進めてきた補習科(『倉吉鴨水館』と命名されました)の立ち上げについて、運営母体となるNPO法人の設立総会を昨夜開催しました。ここまで多くの献身的で利他的な方々のご努力によって到達したものと、改めて感謝と敬意を表したいと思います。ありがとうございました。
 その際議決された事項は設立趣意書、定款、設立当初の役員、事業計画及び活動予算などです。そのあらましは追って何かのかたちでお示しすることといたしますが、今後は法人設立承認申請や施設使用等に関する県教委への請願、そして開校に向けた諸準備を進めていくことになります。
 ところで『倉吉鴨水館』の船出は順風満帆というわけには行きません。施設や予算、また講師の確保など乗り越えなければならない困難が山積しております。しかし、11月3日に行いました保護者説明の時にも申しましたが、高校生は適切なハードルを設定してこそ大きく成長するものであり、困難のないところでは成長いたしません。本校生徒なら多少の困難をむしろバネにして、また困難を共有する仲間として、大きく成長してくれるものと確信しています。
 それと同時に、崇高な目標を掲げて船出する『倉吉鴨水館』は、設立当初が完成形ではなく、今後成長発展すべきものであり、保護者の皆様はじめ多くの支援者の善意とお力を結集いただくことで、それが可能となります。いつも申し上げることですが、どうか教育サービスの消費者でなく、共に教育に取り組む当事者であっていただきたいと心からお願いいたします。
 共に堂々と取り組んでまいりましょう。
 

韓国研修旅行

2012年10月29日 00時00分
 先週2年生と韓国研修に行ってきました。日韓関係、特に竹島(韓国名:独島)をめぐる報道がなされる中の訪問でしたが、現地ではつつがなく日程をこなし、全員元気に帰国しました。16年間行ってきた行事ですが、始めたばかりの頃は日韓関係に何か摩擦が起こるたびに大変心配したものでした。現在は韓国民にゆとりが感じられるほどに冷静な雰囲気でした。国の成熟度がそれだけ進んだと言って過言ではないと思います。
 私は一時的に本隊と離れ、交流校である安養高校に訪問しました。授業見学の後、生徒の代表と3、40分程度話をする機会がありました。韓国は儒教思想の影響で、日本に比べて学校、教師、親の権威が未だに厳然とあるお国柄で、その点では日本の20年前くらいの感じでしょうか。それでも学校の指導に対して保護者がクレームをつけるケースが増えてきたと韓(ハン)校長先生は嘆いておられました。生徒たちはフォーラムや今回のホームステイに参加して、各ご家庭でのもてなしに感謝するとともに、自分の将来を日本との関係で考えてくれていることが感じられ、大変有意義な交流をして来たと改めて確信いたしました。ある生徒は校長先生に対して、もっと直接話をしたいという要望を出したりしていました。
 最後に、今回の宿舎である漢江(ハンガン)ホテルの朝食会場から見える、漢江の向うに昇る朝日が大変印象的でした。現地ガイドの一人貞淑(ぺ・チョンスク)さんは、年間数多くの学校を担当されるそうですが、本校生の規律ある行動と的確な受け答えを讃えられて、食事中生徒の背後を朝日が照らす情景を、日本の将来の象徴だと言って下さいました。政治的にも経済的にも閉塞感が長く続く日本にあって、やはり我々大人たちの希望は若者にこそあると改めて感じるとともに、教育の責任を強く自覚する研修旅行となりました。

朝鮮王朝の歴史を語る「景福宮」にて

専攻科と補習科(6)

2012年10月14日 00時00分

 報道で既にご承知のことと思いますが、本校同窓会及び育友会(PTA)から県議会へ提出されていた補習科設置に関する陳情が、今月10日の総務教育常任委員会及び、12日の県議会本会議で「趣旨採択」されましたのでご報告いたします。
 このことにつきましては、6月議会で研究留保になった後、本校育友会を中心とする署名活動、それにご賛同いただいた中部地区他校のPTA様、また中部地区の市町から議会へ提出いただいた設置の陳情等、多くの皆さまのご支援があってのものと心から感謝申し上げます。
 今後行わなければならないことの概要とスケジュールは以下の通りです。
① 準備委員会の設置(10月)
② 県教委との協議開始
③ 生徒保護者への説明(11月)
④ NPO法人申請(同)
⑤ 講師採用開始(1月)
⑥ 募集要項配布(3月下旬)
⑦ 入学試験(4月上旬)
⑧ 授業開始(4月中旬)
 
 なお、この準備は陳情も含め、昨年度の早い段階からから進めてまいりました。既に補習科設置に関わる検討会議は15回以上行っていただきました。同窓会役員、育友会役員、歴代の育友会長、歴代の校長先生などによる献身的なご努力がなければ、ここまで来ることはなかったものと思います。改めて感謝の意を表します。来年4月の開校に向けて、準備はこれからです。各方面に一層のご支援を賜りますよう合わせてお願いし、ひと区切りのご報告といたします。

第9回校長ティータイム

2012年9月19日 00時00分

 今年度第4回の校長ティータイムは、ゲストに「学び祭り」で素晴らしい発表をした専攻科生の西村渚さんと谷口詩織さんが招かれました。 「学び祭り」は、学問の奥深さに触れるとともに学んだことを人に伝える力を身につけることを目的として、10年前から専攻科の行事として行われているのもです。理科系の西村さんのテーマは「不×9」、文化系の谷口さんのテーマは「贈与論」でした。

二人とも難しいテーマによく挑戦したねえ…、いやあ本当に凄い発表だったよ。
谷口さんの「贈与論」は経済論や文化論などの中核的な理論が分かってないと書けない内容なんだけど、それが出来てる…。 
 理系の学問は例えば物理では分子、原子、中性子というふうにミクロ化していく…、そしてそれを発見していく歴史があった。西村さんにはリベラルアーツの考え方に立って幅広い学問分野に挑戦してほしいね。
昨年の受験を経験したから学びの大切さが実感できているのかも知れません。「学び祭り」では論文と発表原稿を書くためにテーマに直結するものだけでなく、関連するたくさんの知識が必要になり、本を読みあさりました。(西村)
本もたくさん読みましたが、先生の指導を受けたり友達と意見交換する度に「あっ、そういう見方もあるんだ!」と気づくことが多く、そこからまた世界が広がっていきました。学びの面白さを感じることが出来たかなと思います。(谷口)
 <校長>
学びの真の面白さを知るものは多くない…、君たちはそれを手に入れたんだ。 専攻科で1年過ごすことで君たち自身の学び方がすごく変化しているね。火が点いたように学んでいる…、まさに主体的な学習者となっている。私はそのことをとても嬉しく思っています。
 

専攻科と補習科(5)

2012年9月13日 00時00分

 現在補習科を設置している高等学校は、岡山・香川・島根・福岡・宮崎に20校近くあります。いずれも教育県と言われている地域です。補習科が専攻科と最も違う点は、設置母体が県立でなく、それぞれの学校の同窓会やPTAであることです。それに伴って、運営資金に県費は投入されず、全て授業料で賄われています。それなら何も議会に設置の陳情などする必要はないように思われますが、これらのいずれもが高校と同一の敷地内に設置されていること(学校施設の一部使用)、また授業には出身校の現職教員が立っていることがあります。そうするためには現職教員の兼業願あるいは職務専念義務免除の許可が必要となるのです。
 現在問題となっていることは、学校施設の一部使用の方ではなく、職員の関わりの方です。この度の陳情では、職員の関わりとして、最低限進路指導をさせてほしい、授業についてはなるべくNPOが雇用する講師を当てると申し出ているのですが、100%外部講師を調達できるかは微妙な状況です。
 いずれにせよ、本校生徒や保護者にとって、来年度専攻科に代わる受け皿があるかどうかは、現在決断を迫られている志望校選定に大きくかかわる問題です。育友会、同窓会では、他校のPTAの賛同を得て、現在懸命な署名活動をして下さっているのです。